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「マジすか学園2.5」第10話

第10話「6人目のメンバー」

「何度見ても見慣れねー」
「てか、似すぎだろー」
「ホントに双子じゃねえのか?」
「俺、髪型と服装入れ替わったら絶対気が付かない自信があるぜ」

チームフォンデュはいつものように喋りながら教室で鍋を囲んでいた。
いや、『いつものように』では無い。
どっち、ツリ、年増、レモン、寒ブリ、に加えて、もう一人いる。

「俺たちだって不思議な気分だぜ。なあ? パル」

寒ブリと顔を見合わせる少女、パル。
そっくりな困り顔が並ぶと、見ている方は信じられなくなってくる。
それでも、すでにチームフォンデュのメンバーはこの光景に大分慣れていた。
行動を共にしてもう3日経っていたからだ。


廃倉庫から出た6人は近くの公園のベンチで休んでいた。
例に漏れずチーズフォンデュの鍋を囲んで。
痛む体を休ませ、そして、この6人目の少女の話を聞くためだ。

「家は?」
「てか、普段は何をしてんだ?」
「学校は?」

聞きたいことは山ほどあった。
怪我をしてまで助けてもらっておいて、ぶしつけなのは分かっていたが、とにかく謎が多すぎる。
一気にぶつけられた質問に対して、パルはしばらく押し黙った。
質問した5人は顔を見合わせた。
確かに迫るような口調になってしまったが、そんなにも答えにくい質問だっただろうか。
学校に通っているのならばどこか気になるし、通っていないからといってバカにするようなことは無い。
家が無い、と言われたって、まあ驚きはするだろうが、今日の感謝を忘れることは無い。
ただ、知りたいだけなのだ、寒ブリにそっくりで喧嘩が強いこの少女のことを。
しかし、パルは中々口を開こうとしなかった。

「べ、別に答えたくないならいいんだぜ……なあ?」

その空気に耐えられなくなったレモンが先に口を開く。
他の4人も、うんうんと頷いた。

「いや、そういうわけじゃないんだ」

今度はすぐにパルが答えた。
寒ブリたちは首をかしげた。
答えたくないわけではないなら、他になにか理由があるというのか。
様々な想像をめぐらしながら、パルの続ける言葉を待った。
そして、その重たかった口がようやく開く。
パルは自信なさげに、小さな声で答えた。

「どうやら私は……違う世界に来てしまったらしい」

へえ、という間抜けな寒ブリの相槌だけが聞こえた。
全員、意味が理解できなかった。
文章の意味自体は理解できるのだが、それをパルが発言した意味が分からない。

「え、え?」
「何言ってんだ?」
「急にボケられても拾えねえよ」

どっち、年増、レモンの3人が取り繕うように笑い、パルの肩を軽く叩いた。
しかし、当の本人はいたって真面目だった。

「違うんだ……私が知ってる世界と。私は、20XX年の人間なんだ」

真面目な顔で言うパルを前にして、今度は3人も笑えなかった。
場が凍りつく。
こいつはヤバい、という表情がつい出てしまう。

「いやいやいや、それはねえよ。本当に。感謝してるけど。そんなボケは」

沈黙を埋めるようにどっちが喋る。
レモンも続いた。

「変なキャラ作ると後で困るぜ? 貫かなきゃいけなくなるぜ?」

何とか笑える雰囲気を作ろうとするも、パルから「冗談でした」という否定の言葉は無い。

「私だってよく分からないんだ……信じられない。でもそうなんだ」

そう言われたって信じられるはずがない。
どうするんだと、どっち達がお互い目配せし合う。
そんな中、寒ブリが呑気に聞く。

「じゃあ、こっちに来る前は何してんたんだ? 20XX年でよお」

もうこれ以上の話は聞くな、と思っていたどっちも、その答えに興味はあった。
どれだけ本気でこの話をしているのかが分かる。
パルは、あっさりと答えた。

「プリズンにいた」
「プリズン?」

パッと意味が出てくる者はいなかった。
英語の学力はもちろん、聞き慣れない単語。
5人の頭にはてなマークが浮かぶ。
それを察したパルがすぐに言い直す。

「刑務所だ」
「刑務所!?」

5人ピッタリとそろって、思わず聞き返す。
ああ、と頷きながらパルは淡々と続けた。

「少女刑務所、『プリズン HOPE』……通称『マジすかプリズン』だ。罪状に関係なく無期懲役で監禁される」

思っても見なかった壮大な話。
刑務所、無期懲役、監禁。
非現実的な話が過ぎて、逆に冷静に聞き入れてしまう。

「て、てことはよ。そこにいたってことはよ。あんたも何か罪を犯したってことか?」

ツリが恐る恐る聞いた。
罪状に関係なく無期懲役、なんて聞いたことはないが、それでも入れられるには理由がある。
窃盗、いや、もしかしたらパルの喧嘩の強さから考えて暴行かもしれない。
前提とする話に信憑性が無いことも忘れて、5人はパルの答えを待った。

「殺人だ」

5人は凍りついた。
一瞬、予想の選択肢の中に浮かぶが、これまた一瞬で消し去る選択肢。
それがパルの口から発せられた。

「でも聞いてくれ。私はやってないんだ」

いよいよマジでやばい。
どっちはそう思わざるを得なかった。
ピンチを助けてくれたという恩はある。
しかし、作り話にしたって、事実にしたって、どちらにせよヤバい。
既にパルの言葉は聞こえていなかった。

「わ、分かったよ。じゃあ、今日はマジでありがとな、助かったよ」

どっちがその場を去ろうと立ち上がった。
その後に年増とレモンも続いた。
困惑するツリに、どっちが耳打ちする。

「気持ちは分かるが、こいつとはもう関わんない方がいい。わけわかんねえぞ」
「いやでもよ……」

ツリは煮え切らない。
どっちが言うことはよく分かる。
パルの話は意味が解らないし、信じられない。
それでも、ツリにとっては、二度も自分を助けてくれた恩人なのだ。
下を向くパルを前に、中々立ち上がれない。

「食えよ。腹減ってるだろ?」

そんな暗い空気を引き裂いたのは、またしても寒ブリだった。
片手に持っていたチーズフォンデュの串を差し出す。

「お、おい、寒ブリ、お前この話を信じるのか?」
「いくら助けてもらったからってわけがわかんなすぎるぞ」

本人を前に直接は言わないつもりであったが、思わずどっちも年増も口が滑ってしまった。
2人の言葉に寒ブリは頷いた。

「信じられねえよ。でも、お金もねえし、家もねえし、腹が減ってんのは事実だろうが」

その言葉には、言われたパルも驚いていた。
差し出された串を素直に受け取り、笑顔を見せた。

「……ありがとう」
「帰るところがねえなら、うちに来るか。居候させてやる」

ええ!? と今度はレモンもツリも含めた4人全員、声が出た。
そんな簡単に言えることではないが、寒ブリ本人はその驚きの声に不思議そうな顔をした。

「あのままボコられた時の病院代だと思えばいいんだよ。こいつは助けてくれたんだぞ?」
「ま、まあお前がいいなら俺らは何も言わねえよ」


あの日以来、寒ブリとパルは、はたから見れば双子にしか見えないが、友達として仲良く登校してくる。
普段、誰が学校にいて、誰がいないか、なんて誰も気にしてはいなかったが、寒ブリにあまりにそっくりなパルの存在はすぐに知れ渡った。
他学年の生徒がわざわざ教室まで見に来て、目を丸くする、なんてこともあった。

「パルがいれば、うちらチームフォンデュもかなり強い勢力になるんじゃねえか? 間違いなくラッパッパクラスの強さだろ」
「てか、パルはチームフォンデュ入ったのか?」
「そりゃそうだろ。メンバーの家に居候してんだからよ。そりゃチームメンバーだろ」

どっちの言葉を聞いたツリが毒づく。

「もう話さない方がいい、とか言ってたのに調子いいぜ」
「それは言うんじゃねえよ! な、パル。うちらの仲間だよな」

どっちの差し出した串を受け取りながら、パルは笑った。

「そう言ってくれるなら、嬉しいぜ」
「ほら!」
「パルは優しいんだよ」

教室内に笑い声が響いていた時。
学校の一階の廊下の端、ちょうど体育館から渡り廊下を経た扉が開く。
きょろきょろとあたりを見回す少女に廊下中の視線が突き刺さった。
見慣れない者が堂々と歩けるほど、この学校の廊下は安全ではない。
すぐに鬼の形相で睨みつけられ、胸倉を掴まれる。
何しに来た、と問われた少女は、少しの動揺も無く、気だるそうに息をついた。

「さあ? 気づいたらいたんだよね。で、何?」

少女は胸倉を掴んでいる腕を逆に掴み返すと、そのまま投げ飛ばした。
その瞬間、半信半疑だった敵意を周りから全力で向けられる。
それでも少女は全く焦らなかった。
長い髪の奥の、氷のように冷たい目を相手に向ける。

「ここ……どこか教えてほしいんだけど」

続く
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

No title

パルはプリズンからマジすか2の世界にトリップしたんですね。
いつのまにかチームフォンジュのメンバーになってますね。
胸倉を掴まれた少女だれかきになります。
次回も楽しみにしています。

No title

トリップじゃなくてタイムスリップでした

No title

パルはタイムスリップだったんですね。1つわかって次の謎。次に出てきた少女は…!

「長い髪の奥の、氷のように冷たい目」…きっと、私の推しのあの人です!一緒に来ちゃったんですね。先が読めない展開にますます目が離せません

PS レモン…「変なキャラ作ると後で困るぜ? 貫かなきゃいけなくなるぜ?」そうだったのか…苦労してんな

Re: No title

> バーさん

コメントありがとうございます。
そうですね、正直そこらへんは余り練っていない設定ですので気にしないでください。
最後に出てきた少女はおそらく次回で明らかになります。
楽しみにしていてください。

Re: No title

> 鷹紫さん

コメントありがとうございます。
1、2と3を無理やりでもリンクさせるための設定なので、非常に甘い所は許してほしいです。
分かってしまいましたか、予想されている方で間違いないと思います。
推しのメンバーを出すことができたら幸いです。

PS そういった細かいところまで読んで頂けているようで、非常に嬉しく思います!
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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