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「マジすか学園2.5」第6話

第6話「報復」

「ど、どうしたんだよ、それ!?」

まず荒々しく開いたドアに全員が注目し、次に頬にあざを作ったツリを見て、教室内は騒然となった。
教室中の生徒達がすぐに駆け寄る。

「大した傷じゃねえよ。大丈夫だ」
「まさか、ナン女か?」

どっちの問いにツリが頷くと、各々が様々な声を漏らす。
やっぱりか、という声だったり、怖ええ、という悲鳴だったり。
同じ学校の生徒が襲われたのだ。
余裕を持っていられる人間はそうはいない。

「5人に囲まれた。いきなりだったよ」
「たった1人に5人……容赦ないのか」
「虎柄のスカーフを身につけろって脅された」

そう言ってツリは自分のスカーフを引っ張ってみせる。
マジ女の赤いスカーフが確かについている。
それは相手の要求を拒否してやった、ということを表していた。

「5人相手に拒否ったのか」
「勢いでやっちまったときはもう死ぬかと思ったぜ」
「どうやってここまで逃げてきたんだ?」

ツリの行動が相当相手を怒らせたことは容易に想像できる。
最悪すぐには立てないくらいにやられてもおかしくは無い。
傷を負っているとはいえ、ツリの怪我はそこまでの大怪我では無い。

「そう! それがさ!」

ツリの声の調子が突然上がる。
ボロボロにされたにも関わらず、面白いことがあったかのようだった。

「助けてもらったんだよ! 誰にだと思う?」

チームフォンデュ含めそれを聞いていた全員が首をかしげた。
ラッパッパは学校にいるし、その他に5人相手でも助けることが出来る人間がいるだろうか。
誰も想像がつかなかった。
ツリはその様子を楽しみながら、聞いて驚けと言う風に答えた。

「寒ブリだよ! 寒ブリ! あいつが5人ぶっ倒してくれたんだよ!」

ツリが言い放った瞬間、えっ、と各々が顔を見合わせて、教室は静まり返った。
全員から驚愕の表情を貰えると思い、自信満々に言ったツリの予想は大きく外れた。
どっちは苦笑いを浮かべた。

「え、いや、そのボケは面白くねえよ」
「ボケじゃねえよ、マジなんだよ! 信じられねえかもしれねえけど」

ツリは自分の予想と違う教室の反応を理解した。
なるほど、あまりにあり得ない事実が過ぎて信じられないのか。
まあ、自分でも信じられないのだからしょうがない。
そうツリは納得することにしたが、後ろの方から聞こえてくる次の言葉で、その納得は消え失せた。

「俺ェ? なわけねえよ」

その何とも情けない声ですぐ分かる。
寒ブリだった。
自分を助けたはずの張本人は、片手にチーズに浸されたパンが刺さった串を持ち、もう片方の手で自分を指さした。
目を丸くして驚くツリの肩をどっちがポン、と叩いた。

「寒ブリはずっと教室にいたし、あいつがそんな強いわけねえ。見間違えだよ」

ツリは何も言い返さなかった。
どっちが言ったことに一つも間違いは無い。
寒ブリの強さうんぬんはまだしも、自分を助けたはずの彼女が自分よりずっと早く教室にいたという事実はどうにもならない。

「じゃあ……あいつは誰だ?」

言い返しはしないが、納得はできなかった。
本当に見間違いだったのか。
確かに、服装は似ても似つかぬ格好だったが、それゆえに、寒ブリと見間違うほど似ているということの裏付けにもなる。
釈然としないまま、ツリは寒ブリに差し出されたチーズフォンデュを口に運んだ。


「俺にそっくりな奴かあ。見てみてえな」

放課後、レモンと一緒に駅までの道を歩く寒ブリは、どこか遠くを見ながら言った。
えー!? とその言葉にすぐさまレモンに反応され、寒ブリも驚いてしまう。
なんだよ、顔をしかめた寒ブリに、レモンは得意気に説明した。

「おめえ知らねえのかよー。自分にそっくりな奴に出会ったら死んじまうんだぜ」
「マジ!? そんなことあんのかよ」
「ドッペルなんちゃらって奴だ」
「物知りだなあ」
「へへん、そうだろ?」

じゃあ会いたくねえな、と寒ブリは再び前を向きなおして呟いた。
それとほぼ同時だった。
寒ブリは突然足を止めた。
どうした、とレモンもつられて寒ブリの視線の先を追ってみると、見慣れない制服。
1人では無い。
数えてみるとちょうど10人。
その中でも一際背の高い少女が、手に持った写真と、寒ブリの顔を見比べながら言った。

「こいつだな。間違いない」

逃げるという選択肢を選ぶとしたら、この瞬間しかなかった。
しかし、レモンも寒ブリもその決断に瞬間的に至れるほどの『勘』が無かった。
一瞬遅れた決断で、振り向き走ろうとするも、一瞬先に動き出した相手の方が早い。
ガバっ、と乱暴に服を掴まれる。

「おいおい、逃げるなって」

1人に大して3人がかりで抑えつけられると、2人は、おそらくこの集団のリーダー格、背の高い少女の前まで引っ張られた。
捕まった直後は手を振り払おうと体を揺すってみるも、3人がかり。
2人は早々に逃げることを諦めざるを得なかった。

「とりあえず名乗っとく。あたしは、ボス。よろしく」

ボスと名乗った少女は、挨拶でもするかのように右手を軽く上げた。

「スカーフならつけねえぞ」
「そうだ、ツリが体張って拒否ったんだ。俺たちもつけねえ!」

いきなり襲われ、降伏を要求される。
全てツリから話は聞いていた。
そして、自分も絶対に負けない、という決意を固めていた。
睨みつける2人に対して、ボスはわずかに疑問を持った表情を見せた。
両者の間には妙な温度差があった。

「あー、確かにそれもあるんだけど、別にマジ女狩りたくて捕まえたわけじゃねえんだわ」

2人はこの言葉の意味が分からず、顔をしかめた。
口でそう言っているだけで、やっていることは、相手の言葉で表現すれば、『狩り』と変わらない。
ボスは表情に笑みを含みながら、余裕たっぷりに話す。

「心当たり、あるでしょ?」

2人はますます疑問の表情になった。
少し考えて、隣を見る。
それがお互い同時に行われて、顔を見合す形になる。

「なんか、ある?」
「無い」
「俺も、無い」

そう確認し合って再び前を見ると、先ほどまで笑っていたボスの表情から笑顔が消えていた。
寒ブリの襟を掴んで引き寄せると、寒ブリは背伸びするほどになってしまう。

「5人ぶっ飛ばしといて何とぼけてやがる!」

ボスが拳を振り上げたかと思うと、鈍い音が響く。
寒ブリは後ろに大きく倒れ込んだ。

「寒ブリ!」

思わずレモンが声を上げる。
倒れた寒ブリには、すぐに取り巻きが近づき、無理やり引き起こされる。

「ま、それの敵討ちってわけ。あ、お前は関係ないわ」

怒りの表情を見せていたボスだが、すぐに元の余裕の顔に戻った。
離してやれ、というようなジェスチャーがを仲間に伝えられ、レモンは解放された。
相手は、5人ぶっ飛ばした、なんて言っていたが、寒ブリの表情を見ても、身に覚えがあるようには見えない。

「な、何のことだよ! 人違いじゃあねえのかよ!」

レモンにとって必死の言葉だった。
恐怖で声が震えたが、目の前の仲間を見捨てて逃げるなんてことはできない。
ボスはレモンを睨みつける。

「人違い? そのためにこういう写真があるんじゃないかな?」
「……えっ」

ボスは懐から取り出した写真をレモンの目の前まで近づけて見せつける。
写真を見たレモンは、それ以上の言葉が出てこなかった。

「どう見ても、こいつだよねえ?」

写真に写っている少女は、横顔で、服装こそまるで違えど、寒ブリにしか見えなかった。
同時に、思い出す。
今朝のツリの話。
しきりに寒ブリにそっくりの少女に助けられたと言っていた。
この写真の少女に違いない。

「ぜ、全然服装が違うじゃねえかよ! 横顔だしよ!」
「うるせえな、お前はどいてろ」

ボスの長い脚が伸びてくる。
それが見えた直後、レモンの腹部には激痛が走り、体が大きく後ろに飛ばされた。
痛みで立ち上がれないうちに、ボス達は寒ブリを引きずるように、どこかへ移動し始める。

「ここじゃ目立つから、ちょっと移動しよっか」
「放せよ! ちくしょう!」

必死に寒ブリが抵抗するも、3人がかりで押さえつけられては、どうにもならない。
レモンは後を追おうとしたが、一度、立ち止まり、2つのことを考えた。
ここから連れて行かれる場所は限られており、廃倉庫に違いない。
自分だけではどうにもならない。
今度は速い判断だった。
レモンは、学校へと走った。

続く
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どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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