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「マジすか学園2.5」第5話

第5話「謎の少女」

それは突然のことだった。
学校へ急ぐ途中、誰かに呼び止められ振り返ってみると、拳が飛んできた。
虎柄の制服を着た5人の少女。
ナン女に襲われたんだと、チームフォンデュ副キャプテン、ツリは理解した。

「いきなり何しやがる……」
「お前マジ女だな」

ひと気のない細い路地に連れ込まれると、囲まれる。
相手は5人、ろくに喧嘩もしたことがない自分に勝ち目は無い。
このまま袋叩きにされるのか、財布を奪われるのか、いや、両方である可能性の方が高い。
ツリの表情は恐怖でひきつった。

「ほら」

その表情を笑いながら、5人の内の1人が何かを放り投げてきた。
目を移すとそれは、虎模様のスカーフ。
殴られる、と思っていたツリは、それをまじまじと見つめる。
そしてもう一度、相手に目を移した。

「な、なんだよ、これ」
「これからは虎柄の物身に着けて歩け。痛い目に遭いたくなかったらな」

ツリは、妙に冷静にこの言葉の意味を理解した。
降伏の印として、虎柄の物を身に着けさせる。
身に着けていれば襲わない、ということだ。
こうして襲っては降伏させ、少しずつ虎柄を増やしていく。
町中が虎柄で染まった時、侵略完了となるわけだ。

「マジ女のだっさい赤いスカーフにはちょうどいいだろ」

おそらくまだ、マジ女で虎柄を身に着けている者はいない。
第一号に選ばれてしまった。
ツリは自分の不運を呪った。

「なんで俺がこんな目に……」

ツリの手は震えた。
今から自分がやろうとしていることに対しての震えだった。
何度も考えた。
相手は5人、勝ち目無し、スカーフをつけさすれば逃がしてもらえる。
マジ女の制服のスカーフを捨てて。
単なるスカーフ、それを捨てるだけ。

「分かりましたよ……」

ツリは渡されたスカーフを右手に、そして震える左手で自分のスカーフをギュッと握った。
ナン女達はその様子をニヤニヤと笑って眺めている。
しかし、ツリがスカーフを捨てた瞬間、その表情は驚きと怒りに変わった。
ツリが投げ捨てたのは、、右手に持っていた虎柄のスカーフ。
鬼の形相で襟を掴まれて引き寄せられる。

「てめえ、何考えてんだ? こっちは5人だぞ?」
「あんなダサイ物つけるくらいなら、ボコられた方がマシ」
「この野郎!」

ツリは殴られた。
勢いよく倒れ込むとすぐさま引き起こされ、今度は腹。
今まで体験したことのない、鈍いような、鋭いような痛み。
それは予想以上の痛みで、30秒前の自分の行動を後悔した。

(制服なんてどうでもいいと思ってたのになあ……)

既に足に力を入れるのは止めていた。
投げられ突っ伏し、耐えることだけ考えていた。
次は蹴りでも飛んでくるか、とやってくるであろうその痛みに備えた。
しかし、中々追撃はやって来ない。

「おい、何見てんだ、お前。お前もマジ女か?」

自分に投げかけられた言葉ではない、とツリはすぐに分かった。
顔を上げてみると、路地の入口付近に誰か人が立っている。
ナン女の背中越しで顔はよく見えないが、おそらく制服は着ていない、少女に見えた。
関係ないのに巻き込まれる、自分以上に不運な奴。

「待てよ」

少女はその問いかけを無視して歩き出したが、あれだけじっと見ていたら逃げられるわけがない。
すぐに後ろから駆け足で追いつかれ、肩を掴まれる。

「その右手に握ってるもの、見してよ」

少女は何かを手に握っているように見えた。
ナン女は2人掛かりで右手を押さえつけ、手をこじ開ける。
手から零れ落ちたのは、どこの学校かは見えないが、校章だった。
それと同時に、ツリは自分の襟元に校章が付いていないことに気付く。
一気に思い出した。
さっき曲がり角でぶつかった相手だ。
彼女が手に持っていたのはそのときに落とした自分の校章に違いない。
当然それはマジ女の校章。

「やっぱりマジ女か。制服着てなきゃバレないと思ったか?」
「意味が解らない。私はその『マジ女』って奴じゃねえ」

それを聞いたナン女達は顔を見合わせて笑った。
自分の発言が笑われている、というのを分かっていても、少女は黙ったままだった。
ナン女は腕を掴んだまま、笑いをこらえながら、言った。

「あー分かった分かった。そりゃすまなかったな。じゃあさ、別のお願い。お金ちょっと貸して?」

ツリは申し訳なく思った。
自分のせいで関係ない少女が巻き込まれている。
そいつは関係ない、と啖呵を切りたかったが、あの痛みを思い出すだけで足がすくんだ。

「……お金は持っていない」
「あ? いいから貸せよ」

ナン女の口調は強くなった。
少女は表情を変えなかった。

「持ってないんだ」
「分かんねえのか? 断る権利はてめえにねえんだよ!」

ドン、と一発、少女の腹に拳が刺さるのがツリには見えた。
自分と同じだ。
息が出来なくて倒れ込んでしまう。
同時に、取り巻きの4人が寄ってきて、次々に蹴りを入れる。
いよいよやばい、とツリは立ち上がって止めようとしたが、蹴り一発であしらわれてしまった。
少女が動かなくなったところで、ポケットやらに手を突っ込んで財布を探す。

「おい、こいつ本当に一銭も金持ってねえんじゃねえのか」

少女の体から財布が発見されることは無かった。
本当に少女は一文無しだった。
これにはツリも驚いた。

「マジかよ。汚ったない服着てよお。お前なんなんだ?」

歳はあまり変わらないはずであるのに、学校も行かず、お金も持っていない。
服装も、私服というにはあまりに汚いツナギだった。
まるで、刑務所の囚人が着ているような服。

「あれ、何か持ってますよ。ペンダント?」

唯一少女が所持していた物は、シルバーのペンダント。
首にはかけず、ポケットに入っていた。
ナン女達は容赦なくそれを奪うと、指でつまんで、顔の前に提げた。

「安もんだな、こりゃ。金にはならねえ」

見てみろよ、と笑いながらペンダントは放り投げられた。
それをキャッチした仲間の少女もまた、それを見て笑った。

「捨てちまうか」
「やめてやれって。貧乏人はこれでも大事なアクセサリーなんだからさ」

一人が笑いだすと、他全員も続いた。
少女達の嘲笑が、そのペンダントの持ち主である、倒れている少女に振りかけられる。
見ていて気分の悪い光景だったが、立ち上がれない自分をツリは情けなく思った。
その直後だった。

「……さわるな」

強い口調が笑い声を切り裂いた。
その言葉は決して大きな声では無いが、彼女達の笑い声が止めるには十分だった。
ゆっくりと立ち上がる彼女を見て、ナン女達は驚きを隠せない。
今まで無表情だった彼女の表情には、明らかに怒りが表れていた。
彼女をただのカモにしか思ってなかったナン女達にとってはそれだけでも思わぬ抵抗であろう。
焦りの表情が見えたが、すぐにこの人数差を見て、必死に余裕を保とうとしている。

「あ? 今何だって?」

口調を強め、大きな声を張り上げて威嚇する。
彼女はそれに臆せず、まだ奪われていなかった、髪留めのようなものを取り出し、右手にバンテージ代わりに巻き始めた。
そしてその右手を拳に変え、顔の横で構える。
次の言葉はここまでの彼女の言葉とは比べ物にならないくらい強い声だった。

「私のマジにさわるんじゃねえ!」

鮮やかだった。
全部でたったの5発。
一人一発ずつ拳を奮うと、相手はバタバタと倒れた。
ツリは開いた口がふさがらなかった。
あっという間に戦意を失った5人は、すでに逃げる体勢に入っていた。

「てめえ……ナン女敵に回したらどうなるか思い知らせてやるからな!」

息も絶え絶えに、それだけを言い残して、ナン女達は逃げ去った。
残された少女は右手に巻いていた髪留めを外してポケットに、落ちているペンダントを胸元にしまった。
そして、もう一つ、キョロキョロと辺りを探し、それを拾い上げる。

「これ、あんたのだろ?」

彼女が放り投げた物を受け取ってみると、それは自分の校章。
やはり彼女は、今朝ぶつかった少女であった。
このとき初めて、ツリは彼女の顔を正面から見た。
そしてその衝撃に固まってしまった。

「じゃあな」

それだけ言うと彼女は振り向き、スタスタと歩いていく。
感謝も、謝罪の言葉も言えないうちに彼女は去ってしまった。
それでもツリはその衝撃から解放されない。
急いで学校へ向かって走り出した。


「なんや、お前ら。誰にやられたん?」

顔を腫らした5人を見て、ナナは驚きの表情を、わざとらしく浮かべた。
5人は涙目になりながら事情を話す。

「マジ女の奴です。いきなり殴られて。見たことねえ奴です」

いきなり5人相手に殴りかかるわけはない。
まだ絡むな、という指示を無視してマジ女に喧嘩を吹っかけたことを隠している。
ナナは彼女たちの嘘を見抜いてはいたが、特に指摘しなかった。

「いきなりとは悪い奴やなー。リストには載ってない奴なんか?」

彼女達が『リスト』と呼ぶそれは、各校の要注意人物を記載したもの。
要は喧嘩が強い奴をリスト化して、勝てない喧嘩は挑まないことになっている。
このリストに載っていない奴であれば、人数差をひっくり返すほどの強さは無い、はずだった。

「知らない奴です。写真撮りました。こいつです」
「横顔でよく分からんな。ま、確かにリストにはおらん奴や。どーしよっか」

うちが行くか、とナナが面倒くさそうに背伸びをしたところで、部屋の扉が開いた。
この会話を聞いていたであろう少女が口を挟んだ。

「ナナさんが行くことないですよ。私が行きます」
「おお、ボス」

『ボス』と呼ばれた黒髪の少女はまだ一年生。
しかし風格は、その高い身長も相まって一年生の物ではない。
当然、風格だけでは無く、喧嘩の実力も含め、一年生にして三年生からの信頼は厚かった。

「あんたが行くなら安心やな」

ナナが写真を見せる。
それを受け取るとボスはニヤリと笑った。

「任せてください」

続く
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

3で活躍したあの人ですよね!フォンデュのメンバーとは別人なのか?それともツリの驚きから、関係者なのか?

これからも楽しみにしています!!

Re: タイトルなし

>鷹紫さん

コメントありがとうございます。
もう隠すまでもないですね、ご察しの通り、あの人です。
どういった形で絡んでいくのか、ご期待ください。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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