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「マジすか学園2.5」第4話

第4話「曲がり角」

「ここは……どこだ?」

目を覚ました少女は、キョロキョロと辺りを見回した。
状況が分からない。
分からな過ぎて、自分が寝ていた場所が、どこかの体育館であるということすら理解するのに時間がかかった。
何故、お世辞にも綺麗と言えないとはいえ、普通のベットで寝ていたはずであるのに、起きたら体育館なのか。
少しも現状が理解できなかった。
混乱の中、少女はまず、外に出ることにした。
その体育館脇の扉の前はすぐに歩道だった。
自分の身長より少し高いフェンスをよじ登って少女は外に出る。
ここがどこなのかも分からず、少女は歩き始めた。


学校内は騒がしかった。

「矢場久根が陥落したらしい」
「まだ一日だぜ?」
「やべえよ、強すぎだろナン女」
「うちに来るのも時間の問題か」

矢場久根陥落のニュースはすぐにマジ女全体に広まった。
変な奴が来た、としか思っていなかったナン女の存在が、いきなり大きくなる。
実際に近所の学校が潰されているという事実も、さらに恐怖として上乗せされる。
朝からその話題で持ちきりの教室内、チームフォンデュはいつものようにぐつぐつと煮えるチーズに、思い思いの具材を浸していた。
しかし、今日は席が一つ空いている。

「てか、ツリは?」
「寝坊して遅刻だって」
「今日はホルモンさんとの交流会だってのに」

副キャプテンのツリがまだ学校に来ていなかった。
チームホルモンと定期開催される交流会の日であるというのに。

「ラッパッパはどうすんだろ、この状況」

4人は顔を見合わせた。
頼りのラッパッパはまだ何も動いていない。
チームフォンデュ含め、生徒たちは不安な日々を過ごしていた。


「……次はうちか?」

部室にてラッパッパが集合し、深刻な表情で学ランが話を切り出した。
ナン女の手紙からわずか2日の出来事。
事態は思っていた以上に早く急変した。

「もう今日にでも来るかもしれない」

尺が泣きそうになりながら言った。
矢場久根の次は、マジ女。
同じように学校にカチこまれるとなれば、ただでは済まないだろう。
もう戦いはすぐそこまで迫っているように思われた。
皆が押し黙る中、少し遅れて入ってきた副部長が淡々と言った。

「大丈夫や。そんな慌てんでも。うちはまだ先や」

おたべは涼しい顔をしていた。
普段からあまり焦りを表情に出すタイプでは無い事を知られてはいるが、それにしたって余裕だった。
見栄を張っているだけなのか、それともその根拠があるのか。
おたべの表情は中々読めない。

「あいつらは矢場久根を何よりも早く落とすことに意味があったんや。だからあんなに急いで矢場久根をやった」
「どういうこと?」

尺が首をひねる。
おたべのその説明だけで、意図することを理解できた者はいなかった。
ただ1人を除いて。

「それはな……」

おたべが続けようとしたときだった。
ガチャ、と部室の奥のドアが開く。
そして、おたべの言葉を引き継ぐように続けた。

「うちとの連携をさせないため、すか?」

グレーのパーカーを羽織り、リュックを背負った少女。
ガムを噛んでいるのか、口元が小刻みに動いている。
その人を小ばかにしたような態度は、彼女の素であるのか、演技なのか、分からない。

「そういうことや。さすがやな、ネズミ」
「それくらいは誰だってわかりますよ、普通」

『ネズミ』と呼ばれた少女。
かつて打倒ラッパッパを掲げ、2年生を率いて世代交代を目論んだ。
当然、当時からラッパッパである現3年生とは敵対関係だったが、矢場久根との戦争で、前田からマジ女のテッペンを託されたことをきっかけに今は落ち着いている。
しかしながら、彼女が現在のマジ女のテッペン、というわけではない。
共に戦い続けた相棒がいる。

「いくらなんでも、うちと矢場久根が協力したらやばいってことや」
「他の学校も遠い所からつぶしてくるはずっす」

マジ女を最終目標とし、周りから少しずつ崩していく。
確実に侵略を成功させるための、ナン女の作戦。
その第一段階、見事に決められた。

「だったらなおさら早くしねえとやばいんじゃねえのか」

連携を取らせまいと動いてくるなら、こちらはそれ以上に早く動く必要がある。
学ランの考えは最もだったが、ネズミは首を振った。

「もう無理っす。この手の早さはさすがとしか言いようがないっすねえ」
「じゃあ、どうすんだよ」

ネズミの頭の良さは知っている。
そのネズミが、無理、と手を上げるほどの状況。
事態は深刻だった。
沈黙が場を支配したとき、また、ドアが開いた。

「正面から……やり合うしかねえってことだ」

そう言って現れた少女は、かつて大島優子がそうしたように、髪をかき上げた。
カーディガンを羽織り、左手にはヘルマン・ヘッセの『車輪の下』が見える。

「センター……」

共に戦ってきたその相棒の名をネズミはつぶやいた。
『センター』。
ラッパッパの現部長。
正真正銘、今のマジ女のテッペンである。

「簡単だ。実力でナン女をぶっ倒しちまえばいいってだけだろ」

センターの言葉に、その頼もしさに、ラッパッパの面々はニヤリと笑った。
それを見てセンターも、不敵な笑みを浮かべた。
元々喧嘩は大好物。
実力でねじ伏せる、それが私達には出来る。
それが県内最強、馬路須加女学園のラッパッパであることの自信だった。


「皆は……どこにいる?」

少女は未だ、辺りをウロウロと歩いていた。
自分の身に起きたことが把握できない。
同じようなことが前にもあったが、慣れるわけない。
さらに今回は、一度目のそれとは質が違うこともなんとなく理解していた。
真昼間ということもあり、人通りは少なく、辺りは閑散としていた。
ただ、耳を澄ますと、遠くから誰かが走る足音と声が聞こえてくる。
タンタンタンタン、と。

「やっべえ、せっかくの交流会に遅刻だ」

その足音と、慌てた声はどんどん近づき、ちょうどすぐ目の前にある曲がり角の先から聞こえてくるように思えた。
何事かと、曲がり角に差し掛かると、同時にその足音の主が飛び出してきた。
どん、と身体がぶつかり合い、少女は尻餅をついた。
ぶつかった相手は大きく体をよろけながらも、倒れることは無かった。

「悪い、先を急いでるんだ!」

こちらに顔も見せずに口だけの謝罪を述べて、相手は走り去った。
その後ろ姿に腹が立つのと同時、足元に何かが落ちているのに気付いた。

「これは……校章?」

拾い上げてみるとそれは、間違いなく学校の校章。
制服の襟につけるものであろう。
自分の物ではない。
おそらく、制服を着ていたように見えた、今ぶつかった彼女の物だ。
衝突の拍子に落ちたに違いない。
高価なものには見えないが、失くしていいものではないだろう。
少女は立ち上がり、彼女を追うように、また、ゆっくりと歩き始めた。

続く
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

No title

少女の正体…気になりますね~。
思わずキーマンなのかと勘ぐってしまいますwww

Re: No title

>凛九郎さん

コメントありがとうございます。
少女の正体、楽しみにしていただけたら嬉しいです。
もちろんキーマンになっていくかどうかもご期待ください。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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