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「マジすか学園2.5」第3話

第3話「シブヤ対ナン女」

「シブヤさん! もうすぐそこまで来てます!」

ダンスが慌てて部屋に駆け込んでくる。
その額には汗が伝う。
シブヤ普段と変わらず、椅子に座って足を組んでいた。

「まさか昨日の今日で来るとはな……せっかちなやつらだ」
「カムバック達も! 山椒姉妹も! みんなやられちまってます!」

次々と伝えられる敗戦の報告。
すでに矢場久根の戦力は壊滅していた。
全員が散り散りになっている放課後を狙われてはどうにもならない。

「逃げましょう、シブヤさん! 裏口からなら逃げられます!」

ダンスはシブヤの手を引こうとする。
シブヤはそれを振り払った。

「ボケてんのか、ダンス。学校までカチこまれて逃げる総長があるかよ」

当然の話。
すでに勝てる勝てないの問題では無い。
ダンスは黙って下を向いた。

「シブヤさん……私も戦います」

ダンスは拳を握った。
喧嘩は決して得意ではない。
それでも、シブヤのために戦う覚悟はあった。
しかし、それを聞いたシブヤからの答えは意外なものだった。

「ダンス……お前は逃げろ。このことをマジ女に伝えるんだ」

ダンスはうろたえた。
言われたことを理解するのに時間がかかった。
自分だけ逃げろ、と言われている。

「……嫌です! 何で私だけ逃げなきゃいけないんすか!」

ダンスはシブヤに意見した。
いつか、ネイルの色のことで反論して以来だった。
シブヤはダンスに掴みかかった。

「お前がいても戦力になんねえだろうが!」
「なんで……そんなの嫌です……矢場久根は……シブヤさんは負けねえっす……」

いつものように殴られる、と思っても、拳は飛んでこなかった。
それが情けなくて、ダンスは涙を流して崩れ落ちた。

「ダンス……お前が行くんだ。早く伝えればマジ女も少しは危機感持つだろ。早くしろ!」
「シブヤさん……」

すでにシブヤはダンスに背を向けていた。
それから何を言っても、振り向いてくれることは無かった。
ダンスは泣きながら矢場久根を脱出する。
それからすぐのことだった。

「失礼するで」

総長室の敷居はまたがれた。
虎柄の制服によって。

「お、いたいたシブヤ。逃げたかと思ったで」
「逃げるわけねえだろ」

2年ぶりに目にするその変わらぬ制服。
もちろん、それを着ている人間は2年前とは全くの別人。

「自己紹介がまだやったな。ナン女副総長、みるきーや。で、こっちは新人のメル」

『みるきー』と名乗った少女は、どこか余裕の笑みを浮かべていた。
そして『メル』と紹介された方は、黒いストレートロングヘアー。
余裕とはまた違う、ワクワクとした感じで目を輝かせていた。
それがシブヤには気に入らなかった。

「で、うちがナン女の総長やらせてもらってる、さや姉や。よろしくな」

最後に一番前にいるショートカットの少女が名乗った。
ナン女のテッペン、総長の『さや姉』。

「流石にうちには総長、副総長が来たか。よく分かってるじゃねえか」
「そら元ラッパッパ四天王のシブヤさんは舐めてかかれへんよ」
「……てめえらの目的は何だ」
「簡単や。お手紙にも書いといたやろ。うちの地元はもう飽きた」

すでにナン女は県内では敵無し。
もっと領土を広げるための侵略だった。

「ここらの学校全部ぶっ潰して、てっぺんとったんで!」

さや姉が睨みつける。
シブヤも負けじと睨み返したが、すぐにニヤリと笑みを含ませた。

「なるほどな。まあ、吠えるのは誰だってできるからな」

なんだと、とみるきーとメルは怒りをあらわにしたが、さや姉は冷静に2人を制した。
そして、淡々と話す。

「さ、この人数や。結果は分かり切ってる。さっさと降伏宣言だけしてもらえば、病院送りは勘弁したるで」

わざわざタイマンで決着をつけるつもりはない。
この人数で囲む、とさや姉は暗に示した。
シブヤはもう一度、ニヤリと笑った。

「断る」

さや姉はため息をついた。

「あんたどうせ元マジ女やろ。矢場久根なんてどうでもいいやろ?」

その言葉にシブヤもため息をつき返した。
ゆっくりと座っていたイスから立ち上がると、来ていたコートを少しはだけさせ、その襟元を見せつけた。

「見えねえか? 今は矢場久根の校章つけてんだよ」

グローブをはめ直し、両の拳を顔の前で構えた。

「つまんねえこと言ってねえでよ……さっさとかかってこいよ!」

メルが飛び出した。
勢いに任せたパンチを奮う。
シブヤはそれをかわすと、がら空きの腹に拳を突き刺した。

「……へへ」

しかしメルは怯まなかった。
腹に刺さった腕を取り、シブヤを引き寄せる。
お返しとばかりにシブヤの腹を殴る。

「うっ」
「まだまだ」

追撃は速かった。
気付いた時にはすでにシブヤの右頬にメルの拳が当たっていた。
反撃の左フックをガードすると、メルはシブヤの襟をつかんだ。
そのまま額をシブヤの額へと叩きつける。
シブヤは吹っ飛ばされた。

「よくやったで、メル」
「シブヤも大したことないっすね、みるきーさん」
「そらそうや、前田にも頭突き一発で倒さたんやからな」

1年前の出来事。
まだシブヤがマジ女の3年、ラッパッパ四天王だったとき。
2年生の前田が転校してきた。
まだ、忘れることのできない、敗北。

「しかもそのあとマジ女裏切ってまで矢場久根に入っといて、最後はビビッてタイマンも張れんかったらしいやん」

そして半年前。
マジ女と矢場久根の全面戦争。
矢場久根の総長としてシブヤは前田の前に再び立った。
しかし、拳を構えることは出来なかった。
自分の身を犠牲にしてもマジを通す前田の強さに、勝てるわけが無かった。

「何がラッパッパや。この分やと、大島優子がいたときにカチこんでも大して変わらへんのとちゃう?」

伝説のマジ女のテッペン、大島優子。
彼女はもうこの世にいない。
シブヤはもう一度、拳を握りしめた。

「黙れ」

ゆっくりと立ち上がる。
額から血が出ていたが、気にしなかった。

「あたしをバカにするのは構わねえよ……でも、優子さんを……ラッパッパの皆を悪く言うのは許さねえ」

ラッパッパの面々は、卒業してから、自分のマジを見つけて戦っている。
卒業できなかったゲキカラだって、マジ女で戦っている。
卒業しても、目標も無く、矢場久根に入って、結局前田とも戦わず。
一番中途半端なのは、自分だ。
変わらなければならない。

「元ラッパッパとして……矢場久根の総長としての……マジだ」

同じようにメルが襲い掛かってくる。
その拳を受け止めると、相手の顔面に拳を叩きこむ。
反撃の拳が飛んでくる。
当たってもシブヤは怯まなかった。

「おらあああ!」

メルを殴り飛ばす。
流石にその強さにみるきーは目を丸くした。

「こいつめっちゃ強いよ、みるきーさん。マジで強い」

メルはさらに瞳を輝かせる。
客観的に見ればかなり異常であるが、このときのシブヤには何の動揺も無かった。
シブヤの目は、何も言わずにそれを見ている総長の方へ移った。

「かかってこいよ、さや姉!」
「……」
「黙ってんならこっちからやんぞ!」

シブヤが殴りかかる。
さや姉はその拳を受け止める。
両者がにらみ合い、シブヤの足が止まった瞬間だった。
鈍い音と共に、シブヤは足から崩れ落ちた。

「悪いな。言ったやろ? 別にタイマンにこだわる気は無いんや」

みるきーが後ろに立っていた。
その手には学校の椅子が握られている。
シブヤをにらむその目は、先ほどまでとは別人なほどに冷たかった。
その冷たい目のまま、もう一度椅子を振り下ろす。
倒れ込んだシブヤに、無数の足が降ってくる。

(ちくしょう……どうして私はいつまでたっても小物くせえんだ)

すでにシブヤに反撃の力は残っていなかった。
遠くなる意識の中で、先に逃がしたダンスの後姿を思った。
マジ女へ伝えに向かわせた。

「あとは頼んだぜ……マジ女」

同時刻、泣きながら到着したダンスによって、矢場久根の陥落は伝えられた。

続く
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

No title

ゾクゾクする展開ですね~。
これからどうなるのか期待してます!

No title

シブヤ~(ToT)

最終決戦での復活を願います

Re: No title

> 凛九郎さん

コメントありがとうございます。
これからの展開楽しみにしていてください。

Re: No title

> 名無しさん

コメントありがとうございます。
シブヤは扱いが悪すぎでしたよね。
何らかの形で復活があるかもしれないです。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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