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「スラムダンクはできないけれど」第71話

第71話「実力差」

「で、どうなのよ10番は」

第1ピリオド終了後のインターバル、大島が前田に話しかけた。
前田は一瞬反対側のベンチの珠理奈を見て、答えた。

「うーん、何か企んでんのかと思ったけど、そうでもないみたい」
「じゃ、次からはどんどんパス回していい?」

珠理奈が第1ピリオドで見せた、積極的なスクリーンや、リバウンド。
もちろんそれは必要なことであるのだが、今までの試合映像の珠理奈には少ない。
理由は簡単で、スクリーンやリバウンドのプレーはボールを持っていない選手の仕事だからである。
この試合の第1ピリオド、珠理奈は圧倒的にボールを持つ機会が減っていた。
それを前田は怪しみ、第1ピリオドの様子見を、大島に頼んでいた。

「うん。どんどん回してくれていい」

ブザーの音で、インターバルが終了した。
両チームの選手が出そろい、第2ピリオドが始まった。
点差は帝桜3点リードとわずかである。
大島がボールを運ぶ。

「じゃ、さっそく行きますか」

珠理奈のディフェンスを振り切った前田にパスを出す。
腕一本分の間合いで珠理奈はディフェンスを構えた。
片腕をボールへ伸ばして、プレッシャーをかける。
そのディフェンスに北原と高柳が声を上げた。

「珠理奈ナイディ―!」
「今日の珠理奈ちゃんのディフェンスは気合入ってますよ。昨日言ってましたから」
「なんて?」
「『私の仕事は前田を止めることだ』って」

コースを塞いでパスを入れさせない。
振り切られても、べったりと張り付いて動きを止める。
事実ここまで、前田の得点は速攻のレイアップシュート2本の4点に抑えられている。
しかしこのときは、前田はプレッシャーに対して落ち着いてボールをキープしていた。
ピボットを踏んでボールを頭から腰へと移動させ、グッと前傾姿勢を取った。
ドライブを警戒して珠理奈は間合いを取る。

(来るか……!)

珠理奈が前田のドライブを意識した直後、前田はボールを突きだした。
そして立った一歩で、あっさりと珠理奈を抜き去った。
ヘルプが出てくる前で止まり、ジャンプシュート。
ノータッチのシュートがネットを揺らした。

「前田が来たー! このまま行けー!」

大きな歓声が上がる。
どんな試合でも同じだ。
前田敦子のシュートで帝桜は流れを引き寄せる。
エースの得点で、勢いは加速する。

「さあ、一本ディフェンスだ」

大島が指原との間合いをつめる。
慌てて指原は珠理奈へとパスを出す。
チェンジオブペースからのドライブを仕掛けるが、前田を抜ききれない。
止められた珠理奈をフォローする形で宮澤が外でパスを繋ぎ、玲奈にパスが通る。
山本がチェックに出るが、玲奈はシュートを狙う。

「そりゃフェイクやろ」

ドライブを仕掛けた玲奈に山本は反応した。
苦し紛れのシュートは落ちる。
光宗のリバウンドから、大島、そして前を走る前田にパスが渡った。
前田、大島のチェックに珠理奈、指原がそれぞれ戻るが、人が足りない。
ポン、ポン、ポン、と簡単なパスを外で回して、フリーで増田が受け取る。
スリーポイントが決まった。

(くそ……有華!)

スリーポイントシュートを決めた増田は、ディフェンスでも魅せる。
宮澤のドライブを止め、ライン際まで追い込むと、山本とのダブルチームで挟む。
そして苦し紛れのパスを大島がインターセプトした。
一歩で指原を抜くと、そのまま駆け上がる。
さらには逆サイド、前田が走る。
ディフェンスに戻るは、珠理奈と玲奈だった。

「大島と前田対10番、11番!」

両チームのエース同士が2対2でぶつかることになる。
中央のラインに向かってドリブルする大島の前を横切るように前田がサイドに広がって走る。
対するディフェンスは、玲奈が大島をチェック、珠理奈がその後で前田を視界に捉えつつ構えた。

「優子!」

前田がパスを求める声を出した。
それにより、一瞬、大島を前にする玲奈の頭の中にパスがよぎる。
その瞬間、大島のドリブルは急加速した。

(えっ……)

玲奈が気付いた時には大島との間合いはすでに完全オフェンス有利の距離になっていた。
その加速は玲奈の予想を遥かに上回っていた。
大島のドライブに反応できる間合いはあっという間に潰され、もはや先に動けるオフェンス必勝の間合い。
ドリブルの加速だけで、玲奈を抜き去った。

(2対1か……!)

珠理奈の正面からは玲奈を突破した大島が向かってくる。
しかし、サイドからは前田も走り込んでくる。
両方をマークすることは出来ない。
仕方なく珠理奈は大島のチェックに出る。

(とりあえずは大島を止めて……)

自慢の運動能力なら前田にパスを出されても間に合うかもしれない、という考えがあった。
パスを見てからゴール下のブロックに飛べば、止められる、と。
しかし、その考えはすぐに崩されることになる。
パスは出なかった。
大島はそのままトップスピードで突っ込み、珠理奈に勝負を挑んできた。

(速い……!)

玲奈と同様に、あっという間に差し込まれて間合いをつぶされる。
それでもゴール下、珠理奈の方が上背がある。
珠理奈がブロックに飛んだ。

「残念、遅い」

しかし大島は、そのブロックをかわしてバックシュート。
電光石火のドライブを見せた。
シュートを決めた大島は振り向くと、玲奈と珠理奈を見て笑みを浮かべ、嬉しそうに右手をチョキの形にした。

「2枚抜きだな」

10点差をつけるこのプレーにさらに観客は沸いた。
十桜はタイムアウトでこの悪い流れを切ろうとする。
しかし会場の雰囲気は、帝桜に味方しつつあった。

「こらー! なに1人に2枚とも抜かれてるんだー! まりちゃんだって止めたくせにー!」
「いや、今のとダブルチームは違うでしょ」

他の観客が帝桜のプレーで思わず声を出すのと、同じように、都立十桜の不甲斐なさにではあるが、声を出したのは小嶋陽菜だった。
いつものように不機嫌になったところを高橋みなみに突っ込まれる。

「結構十桜にとっては大事なところだよ……実力差が出てきたって感じだね」

小嶋と高橋のやり取りを笑いながら、篠田麻里子が言った。
同じ1対1からの崩しを主体としたチームであり、当然実力では帝桜が上を行く。
第2ピリオドで10点という差。
この勢いを止められず、20点、30点、と差が開くか否かの場面。
十桜ボールで試合は再開する。

「ダメだ……全然上手くいってない」

小嶋の表情が曇る。
流れは変わらなかった。
帝桜のディフェンスで十桜は中々いいシュートが打てない。
速攻からの得点で、帝桜がさらに差を広げた。

「このまま決まるのか……?」

第2ピリオドにして十桜は崖っぷちに立たされる。
それでも策は無く相変わらずディフェンスは崩せない。
24秒が迫ってくる。
ボールは玲奈に回った。
シュートを狙うが、マークの山本がシュートチェックに張りついている。
あと4秒、3秒、と時間が経つ中、ドライブの姿勢を取って山本との間合いを半歩開ける。
そしてシュートは放たれた。

(まさか……!)

それは、まずシュートを打たれた山本が気付いた。
そしてそのシュートが決まるのを見て、前田、大島と帝桜の選手も感じ取る。
ただのスリーポイントではないと。

「怖いなあ、あの決まり方は。もう半分トラウマだよね」

同時に外では声を上げる観客がいた。
その言葉は同じコートに立った者にしか言えない。
篠田や袖無学園とは別の場所から見ている者だった。
昨日の戦慄が蘇る。

「でもここであの状態になっちゃうのは、あんまり良くないな……」

柏木由紀が、玲奈の後姿を見つめながらつぶやいた。

続く
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

毎回更新楽しみにしてました~
やっぱり面白いな!
続きが気になってヤバイです(≧∇≦)

Re: タイトルなし

> キラさん

コメントありがとうございます。
更新ペース遅くて申し訳ないです。
続き楽しみにしていてください。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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