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「スラムダンクはできないけれど」第61話

第61話「勝機」

「例えば、いくら私が頑張ったって、NBA選手に勝つのは余りにも難しい」

この試合初めて大島が口を開く。
試合は第2ピリオドの終盤、柏木投入で流れを掴んだ深中が優位に立っていた。

「いきなり何の話や」

増田が思わず聞き直す。
突拍子もないことを話し出した大島の言葉に他のメンバーも耳を傾ける。

「そのまんまだよ。スピードやパワーってのには限界があるじゃん」
「まあそりゃそうやな」
「でもさ、いくらNBA選手でも自分が右に動いた瞬間に左を攻められれば、止められないよね」

どんなに体が大きく、超人的な身体能力があろうと所詮は人間。
手が伸びるわけでも、空間をワープできるわけではない。
『右を向きながら左を向く』そんなことができない限りは止められない。

「そんなこと出来るかな」
「目の前でやってるじゃん、深中の7番が」

そう言って、大島は柏木に目を向けた。
パスを貰い、珠理奈と1対1。

「完璧に決まれば、身体能力関係なく止められないってわけか」
「憧れるだけじゃない。その先、超える、というところまで考えて彼女はそれを武器に選んだのかもしれない」

ドライブ、と見せかけてシュート、と見せかけてもう一度ドライブ。
鮮やかな技で珠理奈を置き去りにする。
さらにヘルプで寄ってきたディフェンスは、ゴール下へのパスフェイクで一蹴し、シュートモーションに入る。

「NBA選手を抜き去るふざけた日本の女子高生が存在してもおかしくないってことだ」

そのシュートが決まって10点の差がついた。
十桜はタイムアウトを取り、一旦流れを切る。
観客席では、2回戦においても見られた少女が不満そうにつぶやいた。

「またやられっぱなしなんですけどー」
「後半型ってのは2回戦で分かったけども、ねえ」

顔を見合わせて頷くのは袖無学園の小嶋と峯岸だった。
2人の隣、3人セットの最後の1人、キャプテン高橋が口をはさむ。

「分かってんでしょ? 松井珠理奈はこれからだって」
「んなこと言ったって完全に技術で劣ってんじゃん」

フェイクの読み合いでは完全に珠理奈に勝機は無いように見えた。
いくら試合中に成長できるほどのセンスがあろうと、その差をひっくり返すのは考えられない。
そのことを分かった上で高橋は言う。

「だから、勝機は技術以外のところ」

試合が再開される。
十桜は宮澤に代わって秋元がコートに入った。
今度は北原がボールを受け取り、1対1を仕掛ける。
しかしディフェンス岸里を抜ききれない。

(めちゃくちゃディフェンス上手い……フェイスガードとはいえ玲奈を完璧に封じただけはある)

第1ピリオド、玲奈にフェイスガードで張り付き、ボールすらほとんど持たせない。
岸里のディフェンスは全国でも高いレベルにあった。
北原に合わせて切れ込んできた大家にパスが渡る。
大家はディフェンスが寄ってくるのを見て、珠理奈にパスを振る。
ヘルプで逆サイドに寄っていた柏木が出てきた。
一連のプレイを見ていた高橋が頷く。

「まずはこれ。ヘルプで振り回されての1対1。張り付かれた状態からの1対1より絶対守りにくい」

珠理奈がシュートを構えるが、柏木は反応しない。
そのままドライブを警戒する。

(左……と見せかけて右か!)

小さくボールを振ってから珠理奈がドライブする。
柏木は反応するが、その瞬間、焦る。

(速い……!)

珠理奈の横から体をぶつける形になり、笛が鳴る。
柏木のファウルになった。

「おお、ついにファウルを取った」

小嶋が声を上げる。
抜ききれはしなかった。
しかしここまで完璧に読み切られ止められていたドライブでファウルまでこぎつけた。

「確かに読み合いじゃ柏木に敵わない。今のフェイクもほとんど読み切られてたと思う。だったらその劣る部分を優る部分で補えばいい」
「松井珠理奈が柏木に勝ってるところ……」
「ドライブのスピードだよ。左に一瞬ボールを振る。読み切られたとしてもその一瞬がスピードの差で生まれる傷口を広くする」

フェイクに重きを置いて攻めてくる柏木と正面から勝負しても勝ち目は無い。
珠理奈は逆にフェイクの効果はコンマ一瞬、あとはドライブのキレで勝負する。

「なるほどー。でもまだ1対1で勝ったわけじゃないんだよ?」
「そう、まだ足りない。パスで振ってから1対1、ドライブのスピード勝負。それでもまだ柏木を抜ききれなかった」

エンドラインから指原が北原にボールを入れる。
中で構える秋元にパスを出すが、すぐに柏木がヘルプで寄ってくる。
珠理奈が空いているのを見て、外へパスを出す。
再び柏木と珠理奈の1対1になる。

(松井珠理奈……確かにドライブの速さは驚異的だ。でも、致命的な欠点がある)

右へ左へ珠理奈がドライブを仕掛けるも、柏木を抜けない。
一定の距離を保ったまま反応される。

(それはスリーポイントが無いこと。いくらドライブが速くったって外のシュートが無い相手を読み切るのは簡単だ)

スリーポイントシュートの有無、それが珠理奈と玲奈の大きな差でもあった。
ボールを持った瞬間に打てる、さらに入れば3点。
柏木のようなディフェンスから読み合いを仕掛けるスタイルの選手にとって、その選択肢があることは脅威だった。
その点珠理奈はよほどのフリーで打たせない限りは、入らない。
選択肢が1つ減れば、その分守りやすい。

不意に珠理奈はボールを上で構えた。
しかしそこはスリーポイントラインの外。
珠理奈のシュートレンジではない。

(スリーは無い。軽いチェックだけでいいはず)

その動きはシュートでは無かった。
柏木の頭上を通り、中で面を取った秋元にパスが入る。
フェイクからのドリブルで深中センター藤崎を抜き去り、ゴールを決める。

「やっぱあの十桜のセンターは強いよね。全国でも相当なレベルでしょ」
「秋元才加が崩れない限りは十桜も崩れないと思う。しかも今のプレーは松井珠理奈の柏木攻略の大きな手がかりになった」

負けじと1対1を仕掛けてきた藤崎のシュートを秋元が叩き落とす。
ボールは指原から前を走る珠理奈へと渡る。
45度の位置、柏木と1対1。

(ドライブ……右から左か)

ドライブを警戒する柏木の予想に反して珠理奈はまたもボールを頭上で構える。
それを疑問に思う柏木の背中から、走り込んできた秋元の声が聞こえる。

「柏木攻略の手がかり?」
「要は前半倉持と高城がやったことを松井珠理奈と秋元でやるってこと」

珠理奈がパスを構える。
柏木はそのチェックに足を出す
一歩、二歩、と。

「センターの1対1で深中は秋元にやられっぱなしだ。そう簡単にパスを通させたくはない。柏木は背中の秋元の声が気になって仕方がないはずなんだ」

倉持の剛速球のパスがシュートと同じ役割をしたようにまた、秋元へのパスはシュートと同じ意味を持つ。
珠理奈の足りないシュートレンジを、秋元との連携で押し広げる。

(チェックしちゃダメだ。相手にはまだドライブが残ってる……でも……チェックするしかない!)

柏木は手を上げて、珠理奈のパスをチェックする。

「それだけ腰が浮いたら、もう松井珠理奈の勝ちだ」

鋭いドライブで珠理奈が柏木を抜き去った。
そのまま決まったレイアップが、前半最後の得点となった。

「いい? 少しでも柏木から気を引ければ、珠理奈が攻めやすくなる。あくまでもチームで攻めるんだよ!」

秋元の声が響く中、試合はインターバルに入る。
帝桜への挑戦権を賭けた試合。
流れが右往左往する前半は、6点差で終えることとなった。

続く

光宗さん辞めてしまいました……残念です。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

最近、AKBグループからの脱退者が多いですね。

俺の推しメンがいなくならないことを祈ります。

Re: タイトルなし

>キラさん

コメントありがとうございます。
今年は特に多いですね。
理由は色々あるのでしょうが、どちらにしろ寂しいのでこれ以上出ないでほしいものです
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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