スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「スラムダンクはできないけれど」第58話

第58話「ホントだからね」

倉持のパスによる速攻は止められないが、十桜は点差で置いていかれることはなかった。
玲奈はフェイスガードで動けないものの、秋元、珠理奈、北原を中心にセットオフェンスで得点できる。
特に珠理奈は高城に対して1対1で負けようがなかった。

(ディフェンスは全然大したことない……速攻のときはめちゃくちゃ足速いけど、セットオフェンスじゃほとんどボールを持たない)

簡単なフェイクで珠理奈が高城を揺さぶり、ドライブで抜き去る。

(やっぱりだ。監督の言うとおり、この人は……)

ヘルプをかわすように珠理奈はステップバックしてディフェンスと距離を取る。
そのままジャンプシュートを狙う。
同時に秋元の声が聞こえる。

「珠理奈! 後ろ!」

頭上に構えていたボールが突然、後ろから力を受ける。
そのままボールは珠理奈の手から零れ落ちた。
振り向くと高城がそのボールを拾っている。
前を走る倉持にパスが通るが、そこには指原が回り込んでいた。
あとからくる高城には珠理奈がマークし、速攻のパスを何とかコートの外へはじき出す。

(ブロックされたのか……?)

完全に抜き去った高城が追いついてきてのブロック。
考えられないスピードとジャンプ力だ。
それでもあの場面でシュートが止められた理由はそれしか考えられない。

続く深中の攻撃は、外からのシュート。
しかし明らかに軌道は外れている。

「リバウンド!」

珠理奈は一瞬の隙を突かれる。
高城が視界から消えていた。
気付いたときには高城は珠理奈の横にいる。

(やらせない)

競り合いながら珠理奈と高城は同時に飛ぶ。
落ちてきたボールにほぼ同時に触れ、もう一度ボールは宙を舞った。
そのボールに対して再び珠理奈が飛ぼうとする。
しかしその瞬間、珠理奈は見たことも無い光景を目にすることになる。

(なんで……!?)

既に目線には上昇する高城の肩が見えていた。
珠理奈の遥か上を飛んでいる。
そして何より速い。
そのままボールをもぎ取られると、着地した時点で珠理奈とゴールの間に高城が入り込んでいる。
高城の正面に秋元がチェックに出るが、ゴール下では立っていることしかできない。
1歩踏み込み、秋元と接触しながら高城がシュートを決めた。

「ナイッシュ―あきちゃ!」
「わーい」

倉持と高城がハイタッチをかわす。
十桜の攻撃は、北原にボールが回る。
持ち前のスピードで1線を抜き去り、ジャンプシュートを狙った。

「北原さん! ヘルプ行った!」
「えっ!?」

シュートを打つまで、到底届かない場所にいると思われた高城が猛スピードで接近し、ボールに触れる。
エアボールになったシュートをセンター藤崎がキャッチし、倉持にボールが渡る。

「またこのパターン……」

倉持がボールを大きく振りかぶり、投げる。
一気にコートサイドを駆け上がる高城にパスが通った。

「まさにレーザービームだー!」

指原と玲奈が必死に戻るも、間に合わない。
そのまま高城がレイアップを決める。

「倉持から高城! 超強力な速攻だ!」

倉持の剛速球とそれに反応する高城の走力。
十桜は対応できない。
セットオフェンスで何とか取り返すものの、勢いは完全に深中にあった。

「あ、そういえば、あれ。ホントだからね」
「ん?」

十桜がオフェンスに入る際、高城が突然珠理奈に話しかけた。
無視せず珠理奈はそれに耳を傾けた。
何の話をされるのかピンと来ない。

「あれ?」
「あれだよ、昨日の私が言ったこと。ホントに全部ゆきりんが言ってたことだからね」

言葉を聞いた瞬間珠理奈は思い出した。
都立十桜は珠理奈より玲奈だと言われたときのことだ。
高城が人差し指を向ける先には、ベンチで懸命に仲間を応援する柏木が見える。
あのときは必死でなすり付けられた言葉を否定していたように思えたが。

「どうだか知らないけど……」
「ホントだよー。私がそんなにバスケのこと分かるわけないじゃん」
「それなら、さっさと出て来てもらわなきゃ」

パスを受けた珠理奈が一気に高城を抜き去る。
すぐにヘルプにはセンター藤崎が出て来ていた。
すかさず外でフリーになった北原がパスを要求するが、珠理奈はパスをしない。
強引にレイアップを狙う。

「高さ勝負なら負けない!」

そのシュートを後ろから追いついてきた高城に叩かれる。
止められた、と誰もが思ったが、笛が鳴った。
自身も叩かれた瞬間焦っていた珠理奈にとってはラッキーなファウルだった。

「ファウル貰えたけど珠理奈、高城のブロックは高いんだ。外でパス貰うよ」
「……すいません」

北原の言葉にうなずきながら、珠理奈のフリースロー。
しかし、2本とも外してしまう。

「ダメだ、珠理奈ちゃん完全に熱くなっちゃってる」

落ち着いて、と高柳が必死に声を出すも、珠理奈から反応は返ってこない。
もう珠理奈の目にはベンチの柏木しか映っていなかった。
ジャンプ力任せの、精彩を欠いたプレーが目立つ。
しかし、ブロックとリバウンドに関しては高城の方が上だった。

「また速攻ー! 止まらない!」

第1ピリオド終盤、完全に流れを掴んだ深中が一気に得点した。
深中8点リードで第1ピリオドが終了する。
ベンチに戻ってきた珠理奈に、安西から交代が告げられた。

「高城は、大家さんに任せますから」

安西の淡々とした言葉に、珠理奈は何も言えずに下を向いた。
怒られもしない自分が情けない。
自分で分かるほどの未熟ぶりにうんざりした。

「そんな落ち込まなくていいですよ、珠理奈さん」

第2ピリオドが始まってすぐ、安西は珠理奈に声を掛けた。
コートには、珠理奈と代わって大家が、そして玲奈と代わって宮澤が出ていた。

「もともと第2ピリオドで珠理奈さんは交代の予定でしたから」
「もともと……?」
「珠理奈さんが張り合ってくれたおかげで高城がどんな選手かは大体把握できました」
「だったら第2ピリオドもこのまま高城と……」
「いや、あなたにはもう1つ仕事があります。それは……」

安西の目線が深中高校ベンチへ移る。
そこには時折、体を冷やさないように動かしながら出番を待つ選手がいる。

「柏木です。満を持して出てくる彼女に好き勝手やられないように迎え撃ってください」

安西の言葉を聞いた瞬間、珠理奈はわずかな緊張を覚える。
確かに、柏木を意識していたことはそうであるのだが、そのためにベンチに下げられるとなると違ってくる。
明確な役割を背負ってベンチに座っていることのプレッシャーを感じた。

「さて、いつ柏木を引っ張り出せるか」

安西の視線の先には高城をマークする大家がいた。
前日のビデオ、そして第1ピリオドの動きから、高城に関して1つの事実が浮かび上がる。

(監督の言うとおり、多分こいつのバスケ経験は浅い)

運動能力は驚異的であるし、基本の動き、シュート、パスはそん色が無い。
しかし細かい技術では明らかに全国レベルの選手に比べると劣っていた。
ドリブルのハンドリングだったり、ディフェンスの動きであったり。
ここまで難しいシュートを打ってこない理由も明らかだった。

(シュートレンジも狭いはず。抜かれないように守れば……)

高城にパスが渡る。
ミドルレンジのシュートは無いと判断した大家は、ドライブを警戒して一歩足を引く。
それを見た高城は、グッと膝を曲げ、ジャンプシュートに移行した。
少々ぎこちない、しかし綺麗なフォームのシュートがネットを揺らす。

(その距離は打てるんか……! ド素人じゃない)

オフェンスに走りながら、大家は高城に話しかけた。
ストレートな質問だった。

「あんた、バスケはいつから?」
「え? 高校からだよ」
(てことは始めて1年ちょっと……?)

その言葉に大家は焦る。
いくらつたないとはいえ、高城の動きは歴1年の動きではない。
少なくとも全国大会でまともに渡り合えるレベルに、たった1年で達したことになる。

「おいおい……あんた天才か?」
「天然ってよく言われます」

負けじと大家がパスを貰う。
姿勢を低くしてドライブの動きを見せる。
慌てて後ろに下がった高城を見て、ジャンプシュートを狙う。

「しいちゃん! その距離はダメ!」

大家が飛び上がり、ボールをリリースするまでのわずかな時間。
高城があっという間に距離を詰めてくる。
大きく伸びた片腕がボールに迫った。

(触られた……! そういうことかい)

高城の指先がわずかに触れたボールはリング手前に当たる。
弾かれたボールはそのまま倉持の手に収まった。
その時にはもうすでに高城が猛スピードでコートサイドを駆け上がっている。
止められない速攻の場面。
しかし安西に焦りは無い。

(大丈夫……指原さんなら止められます)

今までと同じように大きく振りかぶる倉持。
それに対峙する指原が動き出す。

続く
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

Secre

プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。