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「スラムダンクはできないけれど」第51話

第51話「やるべきこと」

「渡辺は菊地と交代」

下を向き、肩で息をする菊地を見つめながら渡辺は頷いた。
菊地と交代、というのは今まで初めてのこと。
ガードポジションである多田や岩佐との交代とは違う。
しかもまだ第1ピリオド、残り3分だ。
第2ピリオドから交代する普段とは違う、急な事態。

(バカのきくぢがここまでやられるとはね)

どんな強敵が相手でもがむしゃらに点を取って来るのが菊地だった。
精神力の強さもチーム随一だった。
その菊地がわずか7分で下を向いてしまう光景は、菊地をよく知る仲川でも初めて見るのものだった。

「渡辺、やることは分かってるね?」
「はい」
「よし。……まだまだこれからだよ。気持ち切らすな」

監督の言葉に5人全員が頷いてコートに戻る。
渡廊の試合を知っている人間であれば、すぐにその異変に気付く。
アウトした6番に、代わって入ってきた21番の1年生。

「菊地と麻友が交代か……」

交代の相手は菊地だが、渡辺はガードポジションに入り、フォワードポジションには岩佐が入った。
ゆっくりとドリブルを突きながら、初めて帝桜と対峙する。

「ガードやるみたいだから、21番はさや姉がついて」
「その呼び方どうにかなりません? 前田さんの方が先輩なのに」
「じゃあ、おっぱいちゃん」

菊地をマークしていた前田は、岩佐にマークを変える。
その岩佐についていた山本が渡辺をマークする。

(菊地さんと代わって、私がやるべきこと)

ドリブルをついたまま、渡辺はボールを動かさない。
帝桜相手の最初のプレーに注目が集まる中、10秒の間、何もせずに時間が経とうとしていた。
マークする山本は冷静にその動きを見つめ、我慢する。
不意に増田の声が聞こえる。

「スクリーン、左!」

気が付くと仲川がすぐ左に立ち、壁になっていた。
すぐさま後ろを通り抜けて、ドライブに対応する。
しかし、その先に渡辺の姿は見えない。
仲川が間に立って空いた山本との間合いを見てスリーポイントが放たれた。
そのファーストシュートは綺麗に決まることとなった。

「いきなりスリー! 決めてきた!」

たっぷりと時間を使ってからのスリーポイント。
それを選択する度胸、そしてきっちり決める技術は1年生とは思えない。
このプレーで観客の視線を一気に惹きつける。

「私が今やるべきことは……点を取ることだ!」

渡辺のプレーの余韻が残る中、帝桜はすぐに切り替えて攻撃に移る。
パスを受けた大島から、光宗に鋭いパスが飛ぶ。
そのパスに反応したのは渡辺だった。
横から突然現れ、カットする。

「おっと、読まれてたみたいだね」

渡辺がそのままドライブからのジャンプシュートを決めて連続得点になった。
離れようとしていた点差を徐々に取り戻そうとする。
7点差で第1ピリオドが終了した。

「やっぱり渡廊がリードを許す形になったか」
「でも渡廊は第2ピリオドから本領発揮ですよね」
「いや……そうとも限らない」

指原の言うとおり、渡廊の第1ピリオドはまだデータの収集であり、渡辺も温存されていた。
しかしながら、菊地と交代というアクシデントで渡辺が出場することになり、その戦法はいきなり崩されていた。
さらに秋元は、渡廊の地区予選との大きな変化を知っていた。

「あー、そうか、なっちゃんじゃないんだ。残念」

大島が出てきた渡廊の5人を見て、息をつく。
帝桜のメンバーは第1ピリオドと変わっていない。
渡廊はガードの多田が交代していた。
しかし、その相手は平嶋夏海ではない。

「平嶋は怪我で戦線離脱だ。今の渡廊に絶対的なポイントガードはいない」
「じゃあ、あの選手は……」
「浦野一美。多田の次、3番手のガードだ。おそらくもう一度多田と交代するのも考えられる。現に一回戦はずっと多田が出場していた」
「てことはこの交代は体力面を考えた交代ってことですね」

平嶋の離脱でチャンスが回ってきた選手。
浦野が大島とにらみ合う。

「あんまり舐めてんじゃないよ」

渡廊のボールから第2ピリオドはスタートした。
浦野がボールを持った瞬間、大島がプレッシャーをかける。
激しく体がぶつかり合い、お互い火花を散らす。

「別に舐めてないよ……経験で言ったら間違いなくこのチームで一番なんだから」

相手が多田だったとき以上にプレッシャーをかけてくる。
高校生トップのガードの大島のディフェンスを喰らえば、浦野も自由には動けない。

(ちっ、舐めて油断してくれてた方が良かったんだけどね……流石は大島優子)

無理にボールはキープせず、浦野はパスを見る。
すぐに渡辺がパスを要求した。

「シンディーさん!」

浦野とのコンビで繰り出したのは、またもスクリーンを使ったスリーポイント。
渡辺のシュートは落ちない。

「麻友凄いな……絶好調じゃんか」
「強い相手とやる方が調子いいタイプだからね」

元チームメイトの珠理奈と高柳でも、渡辺のこの好調ぶりには驚く。
帝桜は山本がパスを要求した。
渡辺との1対1、鋭いドライブからのストップジャンプシュートが決まる。

「でも山本もすぐ返した……上手いな」

浦野のボール運びからパスを受けたのは、またも渡辺。
菊地と代わってからはほとんどの攻めが渡辺から始まっている。
マークする山本がどっしりとディフェンスを構えた。
すぐに後ろから、増田の声。

「スクリーン行った! 左!」

先ほど交代してすぐのプレーと全く同じ。
再び仲川が山本の左側で壁になる。
渡辺が壁を使うようにドリブルを突き始める。
仲川の前側を通るスペースは無かった。
山本が後側をすり抜ける。

(さっきはそのままスリーポイントだった……今度はドリブルか)

壁になる仲川で一瞬視界が遮られる。
その瞬間の勝負、山本はドライブのコースを止める動きから、一気にシュートチェックの動きに移行した。

(と、思わせといてシュートや!)

山本の読み通り、渡辺はドライブに来なかった。
しかし、シュートも打たない。
構えて山本を引き付けた瞬間、ボールが手元から消える。
山本と増田の狭い間をくぐり、スクリーンをかけていた仲川にボールが渡った。

(と、さらに見せかけてのパスか!)

ゴール前の仲川からディフェンスをかわすように小森へパスが通ってゴール下シュート。
渡辺を起点に見事な連携を見せる。

「おおお! 今度はパス! 21番相当出来るぞ!」

帝桜と互角の勝負を見せる1年生の登場に歓声が大きくなる。
点差は離れない。
むしろ勢いは渡廊が上回っていた。

続く

ようやく夏休みは始まりました。
でも更新ペース上げられそうにないです、すいません。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

毎回楽しく読ませていただいてます(^ ^)

Re: タイトルなし

> キラさん

コメントありがとうございます。
中々更新できなくて申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いします。
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Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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