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「スラムダンクはできないけれど」第47話

第47話「終了間際」

(絶対スリーポイント狙いだ……となると11番、松井玲奈しかない)

変わらず上麻のディフェンスはマンツーマン。
十桜はガード高柳がボールを運び、5点差への攻略に出る。
最低でも1回守り、2回ゴールを決めなければ追いつけない。
そしてこの攻めの予定は、上麻の予想通りスリーポイントで一気に追いつくことだった。

「スリー絶対チェック!」

篠田の声が響く。
高柳から玲奈にパスを裁くものの、藤江によるスリーポイントへのチェックは厳しく、全く打てない。
スクリーンをかけてもすぐに対応され、スリーだけはチェックされる。
ならばとドライブを仕掛け、上麻のディフェンスに切り込んでいく。

「2点もやらせないけど」

ヘルプには篠田が出てきて対応する。
あっという間に間合いをつぶされ、ミドルレンジのシュートも打てない。
しかし、空いた逆サイド、珠理奈が待ち構えているのを、玲奈は見逃さなかった。
すかさずパスを出し、珠理奈がスリーポイントシュートへ移行する。

「10番にスリーは無いよ! リバウンド!」

放たれたシュートはリングに弾かれた。
その結果を見る前に珠理奈は走り込んでいた。
すぐに篠田がスクリーンアウトをかけるが、違和感を覚える。
明らかにゴール下に人が多い、というより十桜は誰もセーフティーに戻っていない。

「今度は十桜が5人全員リバウンドか!」

上麻の篠田、前田亜美、佐藤すみれ、と、十桜の秋元、宮澤、珠理奈。
ゴール下3人であれば身長に優位があるのは上麻であるが、そこに玲奈が加わると変わる。
藤江と玲奈は身長的には完全にミスマッチなのだ。
玲奈の不意の飛び込みリバウンドに藤江のスクリーンアウトは外れる。
ゴール下の激しい競り合いで、ボールは弾かれ転がった。

「どおりゃああ!」

そのボールに飛びついたのは高柳。
顔を上げると、もうそのパスの相手は構えていた。
倒れたまま、急いでパスを出す。
ボールを受け取った玲奈には、チェックがいない。

「スリーポイント決まったー! 十桜全然諦めちゃいねえ!」

篠田から貰った3点プレーをきっちり3点シュートで返す。
もう一度点差は2点になるが、残り時間は1分。
シュートを決められたらもう逆転する時間は無い。

「ここ絶対守るぞ!」

秋元の声を受けながらディフェンスのポジションにつく。
上麻は時間を使いながらボールを回す。

(もう分かってるよ。2点差だろうが残り1分だろうが関係ないんだろ?)

珠理奈が思うとおり、自分にスクリーンが掛かり、その隙に篠田にパスが入った。
上麻の選択は最後まで篠田麻里子。
さらにスクリーンを使って、ドライブを仕掛けるだけのスペースを作ってくる。
低い姿勢、その身長そぐわぬ速さで突っ込んでくる。
ヘルプに出た秋元と正面から対峙した。


「秋元さん、ちょっと提案があるんです」

5点差でのタイムアウト、珠理奈は秋元に相談していた。
タイムアウト明けの攻めを成功させたとして、その次のディフェンスは絶対止めなければいけない。
すなわち、篠田麻里子を止める。
珠理奈には分かっていた。
おそらく上麻は篠田で攻めてくる、そして篠田も何が何でも珠理奈と玲奈を破ってくると。
そうなればヘルプで勝負するのは秋元になる。

「篠田のジャンプが最高点に達したらもうチェックが届かないですよね。だから、その前、完全に先読みして飛んでほしいんです」
「そんなのフェイクで……」
「かわされると思います。それでも……チェックしなかったら負けです。大丈夫です、策はあります」
「かなり無茶だが……しょうがないか」

リスクを背負わなければ勝てない、それが分かっていた秋元は、珠理奈の提案を了承する。


そして迎えたのは、完全に珠理奈の読み通りの展開。
秋元を目の前にしながら、篠田がジャンプシュートを狙う。

「確かにチェックしなきゃ決められる……ここで飛ばない選択は無い!」

高く腕を伸ばして、篠田のシュートコースを塞ぐ。
それは篠田がシュートに飛ぶ前。
完全に早すぎるチェックだった。
当然篠田の構えはフェイク。
さらにステップ踏み込んでシュートする。

「秋元をかわした!」

秋元の脇から体を入れて、ゴールへ飛ぶ。
万事休すの場面だったが、さらに篠田の視界を塞ぐ腕が伸びた。

「10番が戻ってた! 高い!」

抜かれた珠理奈がさらに回り込んで篠田をチェックする。
そのチェックも先読みのジャンプだが、篠田は飛んでしまっていた。
もうフェイクは出来ない。

(ここまで高かったか……? 松井珠理奈!)

さらに篠田が驚いたのはその珠理奈の高さ。
試合序盤では、たとえ読まれたとしても全く相手にならないチェックだったはずなのに、今は完全にそのチェックが決まっている。
シュートは打てない。

(よしっ……これは止めた!)

あくまでもブロックは狙わない。
ファウルをしないように手を挙げて、チェックするだけ。
あとは放たれたシュートが手に当たるのを待つのみだった。
完全に珠理奈の思惑通りに事が進んだが、それは不意に起こる。
篠田がボールを引いた。

「ダブルクラッチが自分だけのものだと思うなよ……!」
「なにっ……!」

珠理奈のチェックの高さは異常だった。
しかしそれだけ珠理奈が飛んでいるということは、チェックされる篠田の滞空時間も長い。
ボールを引き付けて、もう一度リリースするだけの時間がある。

(いくらなんでも打てない! シュートじゃない!)

普通に飛んだシュートならば、ダブルクラッチのシュートが可能だったのかもしれない。
しかし、このときの篠田は秋元をかわすためにステップを踏んでいる分、体勢が悪かった。

「パスか!」

ゴール下、前田亜美が走り込んでいた。
珠理奈をかわし、スナップを効かせた下投げのパスが出る。
通ればもうゴール下でフリーになる。
2点の失点は免れない。

(やられた……!)

希望が一瞬で絶望に変わる。
これだけ読んで一発勝負に出ても止められない。

バチン。

突然珠理奈の後方でボールが叩かれる音がした。
まだ空中にいる珠理奈には何が起きたか分からない。
着地と同時に慌てて振り向いた。
そこには、がっちりと両手でボールを所持する玲奈がいた。

「取ったよ」

驚きの表情を隠せないのは篠田だけでなく、仲間である珠理奈もだった。
一瞬事態が把握できなくなり、状況を確認する。
タイマーは動いていて、そして得点は加算されていない。
まだ2点差のままだった。
ボールが高柳に渡り、残り30秒、最後の攻撃になる。

「守った! まだ分からない!」

観客が息をのんで見つめる中、十桜は選択を迫られる。
最後の攻撃、誰で攻めるのか。

「これは難しいぞ……篠田以外の場所で攻めると、篠田がヘルプに出てきて上麻の得意な形になってしまう。かといって篠田を破るのは至難」

一本確実に決める。
それは、両者に言えることだが、もう出来なくなっていた。
お互いの策は出し切った上での対決。

高柳がパスを裁く。
角度は浅い、ガードポジションの位置で受け取ったのは珠理奈だった。
その下、45度には玲奈が構える。
普段、あまり同じサイドにポジショニングすることのない2人が同サイドに寄った。

「10番と11番で2対2か!」

相手は当然、篠田と藤江。
逆サイドで他の3人が見つめる中、珠理奈は動き出す。
玲奈にパスを落とし、そのまま玲奈のマークマン藤江の横に張り付いた。

「スクリーン!」

上手く決まったスクリーンにより、篠田と藤江はマークを交代するしかない。
スイッチ! という声と共に、篠田がドリブルをつく玲奈のマークマンになる。
そしてドリブルでお互いの距離が空いた瞬間、珠理奈が内側に体を開く。
マークマンスイッチによるミスマッチ。
藤江と珠理奈のインサイドでの勝負は、身長が同じでも玲奈と勝負する以上に厳しい。
珠理奈へのパスコースが出来る。

(確かにこの人……弱点らしい弱点は無い)

玲奈は目の前の篠田と対峙して改めて思う。
珠理奈では無く自分が勝負しても、勝てなかったかもしれない。

(でもただ1つ……一発勝負の隙がある)

それはほんの一瞬だった。
珠理奈がパスを求める声で、篠田の足が半歩下がった。
瞬間、篠田から離れるようにドリブルを2回、ジャンプシュートを狙う。

(2人同時に守るということが身体に染みついちゃってること!)

猛烈な勢いで篠田のチェックが迫る。
相当な間合いを取っているが、打てるかどうか、分からない。
スナップを効かしたシュートをリリースするまで、分からない。

玲奈のシュートは放たれた。
ほんのわずかに篠田のチェックを逃れ、高い弧を描いた。
打てるかどうかは分からなかったが、入るかどうかは違う。

「決まるに決まってる!」

スパンと音を響かせて、シュートは決まった。
応援の声だけが、ある意味静かに響いていた会場を、今度は大歓声が襲う。

「追いついたあああ! 同点! このまま延長だ!」

敵も味方も、全員の視線がシュートを決めた玲奈に注がれた。
上麻は呆然、十桜は飛び上がるようだった。
しかし、1人除かれた。
この試合常に普通から除外されていた選手。
パスが飛んだ。
同時に安西の叫ぶ声が響いた。

「ディフェンス!」

残りは10秒を切っていた。
ハーフライン手前でボールを受けた篠田が一気に十桜ゴールに迫る。
珠理奈と玲奈が追いつく。
しかし、完全に後手に回ったダブルチーム。
タイムアップが迫る中、落ち着いた様子で篠田が振り回す。
そして飛ぶ。
この試合何度も決めてきた、ミドルレンジのフェイドアウェイシュート。
ダブルチームを前にしながら、勝ち越しへのシュートが放たれた。

続く
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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