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「スラムダンクはできないけれど」第45話

第45話「マッチアップ」

「ダブルクラッチ―! 篠田をかわした!」

ついに1対1で破られた上麻のディフェンス。
ここまで誰も破れなかった篠田からゴールを奪った。
それもダブルクラッチと言うビックプレーで。

「私のパスをカットした時とは違う。一気に勢い持ってくかも」

大黒柱である高橋のパスを珠理奈にカットされたとき。
精神的なダメージを袖無学園はキャプテンへの信頼と絆で乗り切った。
同じようなものが上麻にも当然ある。
高橋以上に上麻の支柱となっていた篠田がオフェンスでもディフェンスでも破られた。
それでも、折れないメンタルが上麻の選手には十分にあった。
しかし、この珠理奈のオフェンスは、技術的な意味で大きなダメージを上麻に与えていた。
ヘルプで遅れて篠田が出る、すなわちオフェンスに差し込まれた状態から始まる1対1でも、篠田が止める。
篠田の圧倒的な1対1の強さで成り立っていたディフェンスだったが、その篠田が追い切れないとなると、根本的にディフェンスは崩壊する。
素早いパスで崩されての失点よりも遥かに厳しい。

「10番連続得点! 止まらない!」

またも珠理奈は篠田をかわしてシュートを決める。
その光景を見ていることしか出来ない篠田以外の選手は感覚的に理解する。
ディフェンスではもう失点を防げない、と。
そしてその理解してしまった感覚は、オフェンスに影響を及ぼすことになる。
篠田のパスから、藤江のスリーポイント。

(点を取り続けなきゃ追いつかれる……頼むから入って……!)

しかし無情にもシュートはリングに弾かれた。
ディフェンスで守れない分、オフェンスでのプレッシャー。
そしてオフェンスで点を取れなければ、さらにディフェンスへプレッシャーがかかる。
流れが完全に傾くまではあっという間だった。
11点あった点差。
どんどん縮まっていく。
9点、7点、そして。

「スリーポイントー! 4点差ー!」

玲奈のスリーポイントが決まり、残り3分、4点差。
返しのシュートも上麻は決まらない。
いよいよ20点差からの逆転劇が、見え始める。
上麻監督の東堂がベンチから立ち上がって、叫ぶ。

「ディフェンス、15番!」

おそらく番号は選手にだけ通じる、カモフラージュであろう。
東堂の声を聞いた選手がすぐにディフェンスの陣形を変える。
篠田中心のゾーンディフェンスとは打って変わり、それはあまりにも分かりやすい。

「上麻マンツーマンディフェンスに変えてきた!?」

高柳に小林、玲奈に藤江、宮澤に前田、秋元に佐藤すみれ。
そして珠理奈には。

「私をゾーンから引っ張り出したのは、あんたが2人目だよ」

今までゴール付近だけで戦っていた大きな体が珠理奈の目の前に立ちはだかる。

「10番オッケー。もう点はやらないよ」

ついに篠田麻里子がスリーポイントエリアの外まで出た。
当然、この試合初めての光景であった。

「……明音!」

くれ、と言わんばかりに大きく珠理奈が手を広げる。
コクンと頷きながら高柳がパスを裁く。

「それでも10番で攻める! 十桜強気!」

珠理奈は素早くボールを左に振ってから、右ドライブを仕掛ける。
すぐに反応した篠田の体にぶつかるが、かわすようにロールターン。
それは先ほどまでのヘルプで出てきた篠田であれば間違いなく抜けた技。
しかし、今は完全なマッチアップの1対1。
そのロールを読んでいた篠田が回り込み、ボールをスティールする。
弾かれたボールはラインを割った。

「あんまり調子に乗っちゃダメだよ。言ったでしょ? もう点はやらないって」

不敵な笑みを浮かべる篠田の言葉に、珠理奈は何も返すことが出来なかった。
今の1対1で分かってしまった圧倒的な実力差。
かなり調子も上がっていたし、ドライブの選択も間違っていなかったはずだった。
それでも止められた。

(多分……現状、この人には1対1で勝てない)

珠理奈は審判からボールを受け取り、高柳にパスを出す。
すぐにその高柳の外側を回り、ボールを受け取る。
抜けないことは分かっていたし、ここでチームを無視して仕掛ける気も無かった。

「……笑ってる?」

それでも口角が上がってしまって収まらない。
自分で、勝てない、と見切ってしまうほどに強い人が目の前にいる。
珠理奈にとって、嬉しい、以外の何物でもなかった。
不思議そうな顔をする篠田をよそに、正面からドライブを仕掛ける。
篠田を破ることは出来ないが、引き付けて、パスを出した。
ゴール下で宮澤が合わせた。

「そんなゴール許さないよ!」

マンツーマンになっても、篠田の運動量は当然変わらない。
パスが出た瞬間に反応し、ゴール下まで追いついてくる。
シュートを構える宮澤の遥か上の高いブロックが飛んでくる。

「私だって、そんな簡単に点が取れると思ってないよ」
「しまっ……!」

宮澤のシュートはフェイク。
落ちてくる篠田にぶつかるように、シュートを放つ。
ボールはリングに届きもしないが、ファウルの笛が鳴る。
フリースローが与えられた。

「よし、篠田からファウル取った! ……ってまだ1つ目かよ」

テーブルオフィシャルズが示した篠田のファウルの数を見て、指原は落胆する。
あれだけブロックに飛び、スティールをしているにもかかわらず篠田はこの試合初めのファウルだった。
退場だけはしてはならない、という役割をまさに完璧にこなしていた。

「いや……でもその篠田からファウル取れたってならラッキーだよ! 大事に行きましょ!」

ここまで全く隙がなかった篠田にしては不用意なファウル。
4点差のこの場面、そうは来ないチャンス。
北原の声援に頷きながら、宮澤がまず1本目を決める。

「ちょっと今のファウルはいらなかったな……」

その光景を見ながら、篠田は大きく息をつく。
額の汗をぬぐい、体をゆすってほぐす。
2本目を宮澤が構えると、グッと腰を落としてリバウンドに備えた。

「今の時間、篠田はちょっと集中力が切れてたかもしれないね」

フリースローで会場が静まり返る中、袖無学園、高橋が呟いた。

「確かにずっと集中するなんて無理だろうけど、篠田の調子はそのまま上麻の調子に影響する」

珠理奈にゾーンを破られ、マンツーマンにディフェンスを切り替える。
ちょうど大きく試合が動いている中で、篠田の集中力は切れてしまっていた。
前半ほどのキレがなく、プレーもわずかに雑になる。
このフリースローを与えてしまったファウルも同じであった。

「じゃあこのまま、まりちゃんの集中力が切れてれば十桜逆転?」
「うーん」

嬉しそうに問いかける小嶋の言葉に、高橋は首を振った。

「残念ながら、このフリースローの間にスイッチ入れなおしてくるかも」

篠田の集中切れによってもたらされたフリースローは、皮肉にも篠田にとってもう一度集中しなおすいい時間。
そのわずかな時間で切り替えが出来る選手。
えー、と小嶋が不満を漏らす中で、宮澤の2投目も決まった。
2点差。
20点あったその差はわずかワンゴールの差になった。

歓声が会場を包む中、躊躇なく篠田はボールを受け取る。
その背中にはこの試合、何度か挑戦し、突破は失敗に終わっている、珠理奈と玲奈のダブルチームが構えている。
位置を確認しながら振り向き、対峙する。
ボールを中心に、お互いの距離がつまる。

次の瞬間、篠田と対峙していた2人は驚かされることになる。
篠田がグッと膝を曲げたと思うと、消える。
気付いた時にはもう反応できる間合いでは無かった。
驚異的なスピードで玲奈の脇から篠田がすり抜けた。

続く

女子バスケ日本代表が頑張っているので更新。
チェコ戦惜しかったですね。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

更新お疲れ様です!
まりこさまをゾーンから引っ張り出した一人目が気になってしかたありませんw

自分はバスケはNBAしか見ないのですが日本もなかなか頑張っているみたいなので今度動画漁ってみます!

マイペースに更新して頂ければ全然いいので無理はしないでくださいね、

Re: タイトルなし

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
1人目が誰なのか、後々明らかになるかもしれないです。
今はオリンピック最終予選が盛り上がってますからね。
格上相手に頑張ったと思いました。

プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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