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「スラムダンクはできないけれど」第44話

第44話「爆発」

「11点差で第4ピリオド……逆転できない点差ではないと思うけど」
篠田へのダブルチームで逆転への流れを掴んだかに思えた第3ピリオドであったが、上麻が粘りを見せ、逆転するまでに至らなかった。
両チーム一歩も譲らない点の取り合い、それはそれで面白いのだが、点差は縮まらない。

「第3ピリオド後半みたいな均衡した展開じゃ逆転しきれない。何か……大きな爆発が無いと」
「ゾーンプレスとか?」

試合を見守る峯岸の言葉に、珍しく小嶋が反応した。
1回戦、自らも食らった十桜のオールコートゾーンプレス。
流れを変えるという意味では、大きな武器だ。

「篠田相手にそれが通用するのか……なんせダブルチームで止めても流れを完全に引き寄せることをさせなかったからね。ていうかあのダブルチームはかなり大きな仕掛けだったはずだよ。それを第3ピリオドで使ってしまったとなるともう弾切れかも」
「上麻だってもう何も無さそうじゃん」
「11点のリードがある。上麻が仕掛ける必要なんて無いんだよ。このまま均衡を維持して逃げ切れば勝ち」

えー、と小嶋は峯岸の言葉に不満げに息を漏らした。
思えば試合開始直後から、もちろん所々一矢は報いているのだが、やられっぱなしでほとんどいいところがない。
負けた相手のそれを眺めるのは、悔しくてたまらない。

「いや……十桜にはまだあるよ……爆発が」

2人の話を聞いていた高橋は、十桜のある選手の才能に気付いていた。
苦しい場面で流れを変えることのできる選手。
誰のことだ、と見つめる2人に説明しながら、試合は第4ピリオドに突入した。

2分のインターバルを挟んでも、第3ピリオドの流れが切れることは無かった。
変わらず篠田へのダブルチームを続けるも、上麻は強引に破ってくる。
十桜もすぐに点を取り返す。
点差が変わらないまま、あっという間に3分が経過しようとしていた。

「ダメじゃん、たかみな! 時間なくなっちゃうよー」
「もう少しだよ。絶対このまま終わることなんてないから」

自分の試合のことのように焦る小嶋を高橋はなだめた。
『絶対』なんて言葉を使ったものの確証はまるでなかった。

(そろそろ見えてくるはずなんだけどなあ。ホントにこのまま何も無しとかだったらかなり恥ずかしいぞ)

あのドヤ顔の予想が外れたら、益々いじられキャプテンが板についてしまう。
祈るように試合を見つめる高橋だったが、その心配はちょうどこの時間帯から安心に変わり始める。

ボールは珠理奈に渡った。
低い姿勢で、1枚目のディフェンスを破る。
すぐにヘルプに出てくる篠田との1対1。
今まではパス回しで崩していた場面であったが、このときのオフェンスは違った。
珠理奈はパスをせずに篠田をかわしにかかる。
緩急をつけたステップからのレイアップは篠田のブロックから逃れるが、ゴールからは零れ落ちた。

「ああー惜っしい!」
小嶋は外れたシュートを見て自然と身体が前のめりになった。
普通の選手が相手なら間違いなく決まったシーン。
何度見ても篠田の守備範囲の広さには驚かされる。
しかし同時に、その隣で同じように大きなリアクションを取っていた峯岸が、あることに気付いた。
「あれ、でも単独のドライブで篠田からブロックされなかったのは、今のが初めてじゃない?」

第1ピリオドから見せつけられてきた、篠田の驚異的な強さ。
それは、ヘルプで遅れて出てきても、シュートは許さない速さと高さだった。
対して十桜は、パスを回すことで崩してきたが、今のプレーは違う。
珠理奈のドライブでスタートし、珠理奈のシュートで終わったプレー。
間違いなくブロックを受けていた場面だったが、珠理奈はかわしてシュートまで打ち切った。

「また……!」

今度は1人目を抜いてからのロールターン。
最後はフェイドアウェイシュートで篠田のチェックをかわす。
シュートは惜しくも外れるが、リバウンドを宮澤が押し込んだ。

「篠田のチェックをかわしてる……! どういうこと?」
「どんどん速くなってるよ」

篠田と対峙してからのスピードが、ブロックを受け続けていた前半とは違う。
繰り出すプレーもただ強引に突っ込むだけだった前半よりも、遥かに丁寧で落ち着いたプレー。
いつの間にか、少しずつ、珠理奈はゴールに近づいていた。
珠理奈の明らかに向上したプレーの幅とスピードに対して篠田は追い切れない。

「渡廊高校戦での菊地との勝負。うちらとの試合では私のパス、そしてにゃんにゃんとの勝負。試合が進むほど彼女は順応した」

高橋の言う、爆発、とはこのことであった。
そしてそれは渡廊高校の菊地も同じように感じていたこと。
マッチアップしなければ分からない恐ろしさ。

「試合が進むにつれて得点力が増していく……にゃんにゃんとは全く別物だけど、それは間違いない」

試合終盤になってエンジンが掛かり、本気を出し始める小嶋とは違う。
珠理奈の場合、持っている力は試合序盤から出し切っている。
つまり元々持っていない力を、試合で発揮し始める。

「おそらく彼女は試合中に成長してる。圧倒的なスピードで」

もう一度、3連続で珠理奈にボールが回る。
1線を抜いてから篠田と対する。
鋭いクロスオーバーから篠田の懐に入り込みシュートを狙う。
その上から篠田の高いブロックが覆いかぶさってくるが、それをボールを引いてかわす。
シュートコースが出来たところで、着地する前に放る。
得意のダブルクラッチが決まり、ついに上麻から、篠田から、1対1での得点を奪う。
上麻独特のゾーンディフェンスを正面から破った瞬間だった。

「もう1回……試合は動く」

続く

試合も終盤です。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

更新お疲れ様です!

ここで、玲奈がどう絡んでくるかがとても楽しみです!

更新お待ちしてます。

Re: タイトルなし

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
玲奈が絡んでくるのか、お楽しみです。
中々進まなくてすいません。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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