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「スラムダンクはできないけれど」第31話

第31話「1回戦開始」

「スタートは、いつも通り秋元さん、宮澤さん、珠理奈さん、玲奈さん、指原さん。ディフェンスはマンツー。マークは昨日ミーティングで言った通りです」

太鼓やメガホンの大きな音が響く中で、安西は普段と変わらぬ調子で、作戦盤のマグネットを動かしている。
開会式から試合まで、あっという間だった。
初日は4つの会場で試合が行われる。
1度に4試合、瞬く間に消化される。
当然、負ければ終わりのトーナメント。
この1回戦で、シード校を除く半分のチームが脱落することになる。
全国大会の独特の雰囲気に浸っていては、終わってしまう。
もちろん、終わるわけにはいかない。

珠理奈は手のひらで、バッシュの裏を拭く。
キュッキュッと音が鳴った。
良い体育館だ、と呑気なことを考えながら、コートに並んだ。
意外と緊張していないのだろうか。
いや、この独特の胸の高鳴りは緊張以外の何物でもない。
目の前に並ぶ、相手の4番、5番、6番。
高橋みなみ、峯岸みなみ、小嶋陽菜。
なるほど、昨日とはまるで雰囲気が違う。
全国大会まで勝ち抜いてきた猛者ということを納得させる。

礼を済ませポジションにつく。
ちょうど見えた指原の顔は、緊張からか完全に固まって今にも倒れそうだった。
玲奈の顔も見えた。
こっちはいつもと変わらぬ、落ち着いた表情。
ジャンプボールに勝った秋元から指原にボールが渡った瞬間、珠理奈は走り出した。
指原からのパス1本、抜け出した珠理奈はレイアップを決めてくる。

「十桜先制! 全国で見てもやっぱり速いですね、松井珠理奈は」
観客席では、都立十桜の名を全国に広めることになった雑誌記者が、資料片手に観戦している。
まさか本当に全国大会まで連れてこられるとは、いつかの地区予選1回戦では思いもしなかった。
「あんだけ記事でべた褒めしたんだ。1回戦くらい突破してもらわないと困る」

袖無学園ガード、高橋みなみがボールを運ぶ。
十桜は安西に言われたとおりのマンツーマンディフェンス。
パスを受ける峯岸をマークするのは、玲奈だ。
すぐに峯岸がドライブを仕掛けてくる。
ドリブル突き出しの1歩目、止める。
その次のロール、これも止める。
無防備なボールをスティールする。

「取った! 速攻!」

1人ディフェンスに戻るのは高橋。
玲奈がドリブルで迫ってくる。
(知ってるよ。スリー打ってくるのは)
高橋の予想通り、玲奈はスリーポイントライン手前で止まる。
高橋がチェックに行くが、躊躇なくシュートを放つ。
綺麗に決まった。
(分かってたけど、ホントにリリースが早いな。私の身長じゃドライブ捨ててチェックに行かないと無理だ)

「松井玲奈のスリーも相変わらずですね。しかもいきなり相手のエースを止めましたよ」
「いい出だしだな。流れを持っていくかもしれない」

5番のマークは玲奈さん、そう前日のミーティングで安西が言った時、露骨に残念そうな顔をする珠理奈の隣で、玲奈は並々ならぬ闘志を燃やしていた。
まだ記憶に新しい渡廊高校戦。
玲奈の得点、わずか12点。
普段であれば20点以上は点を獲るはずが、この試合ではスリーポイントも2本にとどまっている。
抑えられたのだ、渡辺麻友に。
さらには試合の最後の最後で一気に6失点。
余裕の勝利のはずが、その失点で1点差になってしまったのだ。
決めた渡辺を誉めるしかない、という秋元の言葉も耳には入らなかった。

「今日の玲奈は気合入ってるね」

同じポジションとして、練習で玲奈と組むことが多い佐藤は小さく笑った。
調子のいい時は雰囲気が違う。
赤須高校戦でも見せた、あの顔つき、あの目だ。

「麻友に負けたのが相当悔しかったみたいですから」

隣に座る高柳も玲奈の好調を感じていた。
渡辺について色々と聞かれた高柳は知っているのだ。
渡廊高校戦のあとも彼女がどうやったら渡辺を止められたのか考えていたことを。

「またスリーだー! 11番すげえ!」

立て続けに玲奈がシュートを決める。
序盤にして、試合を支配する勢い。

「これ以上、尺は獲らせないよ!」

ようやく峯岸が玲奈をドライブで抜き去る。
しかし、その先に待ち構えるは、秋元、宮澤、そして2人の影にもう1人。
ツインタワーをかわすように峯岸が出したパスに反応する指原だ。
奪ったボールを運ぶ指原がパスを出すのは玲奈。
好調ならばとことん使う。

「そんなポンポン打たせるかっての」

厳しい峯岸のチェックが玲奈を襲う。
それを見て玲奈は先ほどのお返しとばかり、姿勢低くドライブを仕掛けていく。

(ドライブもこんなに速いのかよ!)

峯岸を抜いた玲奈にディフェンスが寄ったところで、パス。
宮澤が小嶋の上から決める。

「このマークを絞れない攻撃力。十桜の流れだぞ」
「やはり全国レベルで見ても凄いですよ!」

攻守ともにゴール下を支配する秋元と宮澤のツインタワー。
変わらずビビりまくりながらも好プレーの指原。
試合のたびに成長し続ける珠理奈。
しかしこのピリオド最も目立ったのはこの4人では無かった。

「また決めたー! なんだあの11番は!?」

絶好調、松井玲奈。
そのただならぬ強さに、会場もどよめく。
スリーポイント3分の3の必中、第1ピリオドから11得点の活躍。

「と、十桜強いー! ホントに都立高校か!?」

第1ピリオド終了で8点差。
勢いは完全に十桜にあった。

「袖無は十桜のテンポについていけなかったですね」
「まあ、第2ピリオドからは修正してくるとは思うがな……」

斉藤が視線を移す先には、監督の指示を真剣に聞いて頷く、小さな背番号4が見える。
小嶋と峯岸に挟まれるとその身長がさらに目立つ。

「高橋みなみが……黙っちゃいない」

続く

更新は遅いですが、試合のテンポは早めかもしれないです。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

お疲れ様です

玲奈の気合いの入り方良いですね!


黙っちゃいない… いいフレーズですね!

また、更新お待ちしてますね!

Re: お疲れ様です

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
玲奈さんは渡廊高校戦であまり活躍が書けなかったので、今回頑張ってもらっています。
クサくてアツいセリフは好きです。
更新お待ちください。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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