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「スラムダンクはできないけれど」第30話

第30話「一触即発」

「えーん。みいちゃーん、たかみなー。どこー」

ホテルの廊下にて、その1人の女子高生は泣いていた。
薄い水色に、白いラインと英字が入ったジャージを着ている。
秋元が目を細め、首をかしげる。

「何だ? 迷子?」
「にしては大きい迷子だなあ」

宮澤が「大きい」と表現したとおり、その少女の身長は宮澤に並ぶほどの高さであった。
それに加えて、長い髪に長い脚。
風貌はモデルのように綺麗だった。

「あの、大丈夫ですか?」

放っておけばいいものを、先頭の秋元が少女まで歩みを進める。
仕方なく他のメンバーもそれに続いた。

「自分の部屋がどこにあるのか分からなくなっちゃって」

そう言いながら俯いて見えなかった顔が見えた瞬間、全員がたじろいだ。
大きな目を持った、はっきりとした顔立ち。
おそらく、いや、どう考えても美人の部類に入る。
そのスタイルと相まって、むしろジャージを着ていることが不自然なくらいだった。

「へ、部屋の場所は分かります?」
「えっと確か……」

その少女が口にした部屋番号は、渡り廊下を渡った隣の棟であった。
確かに現在地からは大きく離れている。
すぐに秋元がそこまでの道のりの説明を始めるが、すぐに珠理奈が口を挟んだ。

「あの……これに全部書いてありますよ。余った奴なんで持って行ってください」

その右手に持った、1部多く貰いすぎたパンフレットを渡す。
丸まった癖がつき、くしゃくしゃであったが、少女は特に気にする素振りも見せずに笑顔になり、ありがとうございます、と小さく頭を下げた。
安堵の表情で案内のページを見る少女は、そのままその場を去ろうとする。
しかし、後ろからかけられた声にもう一度振り向く。

「選手なんですよね? バスケの」

先ほどから全員が気になっていたことを宮澤が問いかけた。
聞かなくても関係は無いし、むしろ聞く意味は無いほどにその身なりから明らかだが、確認はしたくなる。
少女は深く頷いた。

「明日試合なんです」
「へえ、うちらもですよ。頑張りましょうね」

これから数日かけて優勝を目指しての過酷な試合が続く。
いつかは敵同士で当たるわけだが、1回戦くらいはお互いに健闘を祈るもの悪くない。
宮澤が差し出した手を少女は強く握った。

「あれ? ちょっと宮澤さん」

その様子を見ていた指原が、何かに気付く。
宮澤の袖を軽く引っ張った。
どうした、と後ろを向いた宮澤に指原は小さく人差し指を出し、目の前の少女に向けた。

「そのジャージ、学校名、なんて書いてあります?」
「えーと……」

少女が着ているジャージには、崩した筆記体の英字で学校名が刻まれていた。
宮澤が眉間にしわを寄せながら読む。

「ソ……デ……ナ……シ? 袖無! あんた袖無学園の人じゃん!」

良くないとは思いつつも、宮澤も思わず声を上げ、指をさしてしまう。
その様子に少女は首をかしげる。

「そうだけど?」
「うち十桜だよ。十桜!」

宮澤は自分を指さしながら答えた。
何も知らずに握手した相手が明日の対戦相手。
えええ! なんてリアクションが返ってくるかと思いきや、少女はそのまま不思議そうにこちらを見つめている。

「トオオウ?」
「そう。十桜」

少女はまだピンと来ていない。
本当にリアクションが返ってこない。
肩すかしもいいところだった。
何で通じてないんだ? と顔を見合す十桜メンバーの表情を前にしても、その少女から明日の試合に関しての返事が返ってくることは無かった。

「おいまさか明日の試合のこと分かってないんじゃ……」

宮澤が苛立ちにも近い反応をしたところで、また別の声が聞こえた。

「にゃんにゃん! こんなところにいた!」

廊下の先に現れた2人の少女が駆け寄ってくる。
ジャージには迷子の少女と同じく袖無学園の名前が入っていた。

「あー、みいちゃん、たかみなー」
「探したんだよ? 全く」
「この人たちに案内図貰えたから、今帰るところだったんだよ」

この人たち、という言葉を聞いて、現れた2人が十桜メンバーに目を移す。
1人は身長150センチも無い、女子の平均身長すら大きく下回る身長。
そのあまりに小さい体とは対照的な、大きな頭のリボンが目を引く。
もう1人は160後半くらいの身長。
その顔は、秋元が知っていた。

「峯岸みなみ……」
「あ、私の顔知ってるんだ。よしよし、頑張って尺を稼いできた甲斐があった」

袖無学園のエース、峯岸みなみ。
去年の冬の全国大会や、雑誌で顔を見かけたことがあった。

「都立十桜高校キャプテンの秋元才加です」
「えええっ!? 十桜さんだったんですか!?」 

今度は想像通りのリアクションをしながら、小柄な少女の方が1歩前へ出た。
身長176センチの秋元と向かい合えば、その差は30センチ近い。
秋元は大きく見下ろし、逆にその少女は大きく見上げる形になる。

「私、袖無学園キャプテンの高橋みなみです。うちの小嶋さんがお世話になったみたいで」
「いえいえ」

キャプテン高橋みなみ、そして小嶋、確か下は陽菜だった、この2人も名前であれば秋元は知っていた。
峯岸も合わせて、袖無の3年生3人組。
中堅レベルだった学校を一気に全国レベルまで押し上げたのはこの3人の力が大きい。
当然スタメンで、レギュラー中のレギュラー。
宮澤も名前を憶えていたらしく、小嶋陽菜の名前を聞いて声を上げた。

「どうやらウチは相手のスタメン選手に名前すら知られてないみたいだ」

そう少し皮肉っぽく言いながら、その丸い目でぼけっと様子を見守る小嶋に目線を移した。
良い試合をしましょう、で済みそうもない雰囲気に高橋は焦る。
どういうこと、と小嶋の顔を見上げる。

「十桜って明日試合する相手なの?」
「にゃんにゃん覚えてないの!? あんだけ相手のこと話したじゃん!」
「ごめん。あんま興味なくて」

わざとなのか、気づいてないのか、小嶋は淡々と火に油を注ぐ。
目の前にいる宮澤はもちろん、後ろの珠理奈、そして玲奈も表情が険しくなる。
どんどん悪くなる空気を高橋が、冷や汗交じりにフォローする。
「な、何言ってんの。冗談だよね、嫌だなあ、にゃんにゃんは」
そこへ峯岸が口をはさむ。

「いいじゃん、それくらい言っとけば。テレビ的には盛り上がるよ。うちらがヒールみたいになるけど」
「テレビ的にとか無いから!」

能天気に笑う小嶋に煽る峯岸、そしてそれを何も言わずに聞いている十桜メンバー。
もう止めてくれ、と言わんばかりに高橋は今にも泣きそうな顔で目を泳がせている。

「よし、分かった。じゃあこっちもテレビ的に盛り上げようかな」

一歩前に出る宮澤を秋元が制した。
「何熱くなってる?」
「大丈夫、大丈夫。一言だけ」
高橋に手を引かれてその場を去ろうとする袖無3人の後姿に宮澤は大きく人差し指を向けた。
そして、息を吸い、言った。

「明日から十桜って名前が二度と頭から離れないようにしてやるぜ!」

その声はホテルの廊下に響き渡った。
一同ポカンとする中、峯岸だけは嬉しそうに答えた。

「おー。言うねえ」

さらに続けようとする峯岸の口を高橋が塞いだ。
そして深々と頭を下げ、2人を連れて去っていった。
残された十桜メンバーは宮澤の言葉に開いた口がまだ塞がらない。

「な、何あんな啖呵切っちゃってるんですか!」

指原が宮澤の腕を掴んで揺さぶる。
誰だってあんな一触即発の雰囲気のまま試合をしたくは無い。

「先に煽られてんのはこっちだぞ? 何か言い返したいじゃんか」
「そんなこと言ったって……」

嫌だー、と頭を抱える指原とは違い、珠理奈は嬉しそうに宮澤へ歩み寄った。

「そうですよ。あれくらい言っちゃったほうがスカッとしますよ」
「だろ? 珠理奈は分かってる」
「いやいや、絶対よくないですよ!」

なんだかんだ盛り上がる十桜メンバーを秋元は静かに見守っていた。
全国大会1回戦という緊張するしかない試合前とは思えない、いい雰囲気ではある。
リラックスにはなったのかもしれない。

「こんなに荒々しい部活にした覚えは無いんだがな……」

ふっ、と小さく秋元は笑い、部員を部屋へ戻るように促した。

続く

ノースリーブスの3人は好きなので、少し癖のあるキャラに。悪意はないです。
更新全然できなくて申し訳ないです。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

これくらい一人一人のキャラクターがそれくらい個性だせると読んでる方々はイメージしやすくて感情移入しやすくとても羨ましいです(>_<)

私事なのですが東京の方に越してきまして小説のほうがまだまだ自分はかかりそうです(ToT)

Re: タイトルなし

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
いえいえ私はただベタベタなキャラをメンバーに無理矢理かぶせているだけなので。
AKB小説ならば、本人様の性格を再現してある小説の方がずっと凄いと思います。

お忙しい中、わざわざコメントしてくださってありがとうございます。
小説の方は気にせず自分のペースでお書きください。
気長に待っていますから。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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