FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「スラムダンクはできないけれど」第28話

第28話「全国へ」

「袖無学園……ってどこ? 強いの?」
学校名を高らかに宣言したものの、まるでピンと来なかった宮澤は眉間にしわを寄せた。
そう言うだろうと思った、と秋元がさらにもう1枚資料をかばんから取り出した。
その資料を読み上げる。

「埼玉代表、袖無学園高等学校。2年連続2回目の出場」
「2年連続!? でも2回目か……てことは伝統校じゃなさそうだ」

良い選手が急に集まって実力をつける。
たった3年間で選手が入れ替わる高校バスケ界においては、珍しい事でも何でもない。
むしろ長い間有望な選手を集め、実力を維持し続けている学校の方が少ない。
実際、都立十桜高校もぽっと出の初出場チームだ。
良い選手が偶然にも集まった、と言われても何も反論できない。

「エースは3年の峯岸みなみ。かなり幅広いプレーを器用にこなしてくる」

秋元が淡々と資料の内容を話していく。
珠理奈の頭の中に、着々と『絵』が浮かんでくる。
それは、対戦相手だけではない。
あと1か月後には、石川県、金沢の体育館で全国の猛者を相手に試合をする。
新幹線に乗り、宿泊施設に泊まり、大きな体育館に入っていく。
そしてその体育館を埋め尽くす観客。
自分の前に立ちはだかる相手。
想像しただけで、体が震えてくる。武者震い。

「何、ニヤニヤしてんの?」

高柳に顔を覗き込まれてハッとする。
え、いや別になんでも、と慌てて弁明したとき、自分でも口角が上がりきっているのが分かってしまった。
その顔はお菓子食べてる時か、バスケしてる時、あとは私をからかってる時にしてる顔だ、と高柳が笑う。
「いやいや分かるよ、珠理奈」
宮澤が肩に手を乗せてくる。

「楽しみで仕方ないんだろ? そりゃ皆も同じだ。顔見てみい、皆の」

言われるがままに、トーナメント表を見てあれこれ話すチームメイトの顔を見る。
確かに笑っている。
全員が全員、笑っていない者は誰1人としていない。

「いやでも珠理奈ちゃんの笑い方は変態みたいでしたよ」
「まあ珠理奈はバスケに関しては変態的なところあるしな」
「なんすか、変態って。やめてくださいよ」

高柳と一緒になって宮澤も珠理奈をからかう。
このままだと指原、他の部員、とそれが拡大しそうなのを察した珠理奈は話題をそらす。

「そういえば、渡廊はどこですかね?」

あ、渡廊ね、と一番記憶に新しい全国出場校を忘れていた自らを可笑しく思いながら、一斉になって探す。
割とすぐに見つかった。

「結構近いじゃん。えっと……4回戦だな、当たるのは」

渡廊高校は十桜高校の1つ隣の山に名前があった。
お互い勝ち進めば、準々決勝で当たることになる。

「そこまで渡廊が勝ち上がってくるかは分からんがな」
「え、なんだよ才加。つまんないこと言って」
「その隣。見てみろ」

渡廊高校の隣の名前の学校。
1回戦をシードされ、渡廊と当たるのは2回戦になる。

『帝桜(ていおう)』

その名前は珠理奈も、おそらく高柳も玲奈も、全員が知っていた。

「全国大会……えーと、夏と冬合わせて……4連覇中。渡廊と言えどかなり厳しい」
「もし、渡廊が負けたらうちらが4回戦で当たるのか」

一瞬、場が静まった。
おそらく誰もが想像したのだろう、その4連覇中の超強豪との対戦を。
全国へ行く。
それは今まで雑誌やテレビでしか見ていなかった世界に挑戦するということ。
誰もが知っているような有名な選手と同じコートで戦うことになるということ。
高校生の代表選手だって当然いる。
将来は日本代表として活躍するであろう選手だっている。

「ま、そんな先のこと考えてもしょうがないじゃないですか。今は初戦の袖無でしょ」
「お、さしこにしては前向きな発言」
「考えたくないだけですけど」

やっぱりか、と全員が笑う。
そしてもう一度、これも全員が、しみじみとトーナメント表を見つめる。
それは地区予選の決勝リーグ進出のときも思ったこと。
300以上ある学校が全国を目指して争った。
今度は、全国、何千もの学校の中を勝ち抜いてきた60校。
そして優勝を目指してこの60校が争うのだ。
その中に確かに『都立十桜』の名前があるのだ。

「楽しみじゃないやつはいないよな」

やはりニヤケ顔が収まらない珠理奈、それをいじる高柳、静かにトーナメント表を見つめる玲奈。
じゃれ合う指原と宮澤、それをあきれ顔で見る北原、大家、佐藤。
秋元は強く感じた。
このメンバーで、早く全国の舞台に立ちたいと。
待ちきれない。

「よし! じゃあさっさと練習始めるか!」

パンッと秋元が手を叩く。
1番さっさとしなきゃいけないのは才加だ、とすかさず宮澤が秋元のその制服姿を指摘した。
秋元が慌てて着替えている間に、1、2年生は練習を始める準備をする。
ボールかごを引っ張り出し、タイマーをセットし、雑巾がけ。
練習前、毎日のようにやってきた。
そしてこれからもそれは変わらないだろう。

「よーし。今度こそ始めるか!」

練習着に着替えた秋元が体育館に現れる。
それぞれストレッチを終え、秋元を中心に集まる。

「今日のメニューもいつもと大して変わらん。怪我だけ気を付けて」

いつものように体育館の壁に設置されたホワイトボードに書かれた練習メニューを見ながら秋元が言った。
まずアップから、と秋元が言いかけたところで宮澤が口を挟んだ。

「じゃ、全国を前に一発上げときますか」
「なんだよ、わざわざあれやるの?」
「いいじゃないですか。やりましょうよ」

始めは嫌な顔をした秋元だったが、後から乗っかった指原や高柳に押されて、分かった、と渋々頷いた。

「インターハイまでもう時間は無い。全国制覇目指して死ぬ気で練習だ!」

おし! とそれぞれが返事をする。
全員の顔を丁寧に秋元が見渡し、頷いた。

「十桜……ファイ!」
「おう!」

散り散りにエンドラインに並び、アップが始まる。
相変わらず練習メニューは死ぬほどきついが、不思議と彼女たちの表情は明るい。

続く

「俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!」で打ち切られてしまいそうな終わり方ですが、まだ続きます。
あとでちょっと一休みに「あとがき」ならぬ「なかがき」でも書こうと思います。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

Secre

エースはみぃちゃんでしたか(≧∇≦)


自分も小説を書こうと色々と試行錯誤しています(>_<)


更新お待ちしてます!

Re: タイトルなし

>あおやぎさん

コメントありがとうございます。
小説お書きになるんですね。
書き始めたら、読ませてくださいね。
楽しみにしています。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。