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「スラムダンクはできないけれど」第25話

第25話「100パーセント」

データは絶対。
裏切ることは無い。
それは相手だけでなく、味方も。
よく漫画やアニメで『データの数値を超えている』だとか『こんなのデータに無かった』なんてシーンが出てくるが、何のことは無い、それはそのデータが間違っていただけ。
「データ」と「事実」はイコールで結んでいい関係なのだから、超えるもくそも無いのだ。
1本シュートが外れたから、次も外れる。
そんなことは考える人間はそういないだろう。
10000本入らないから10001本目も入らない。
これならばデータとして信用する人間も多いはずである。
もしその10001本目が入ったとしても、それは先ほどの漫画と同じ。
データが間違っていただけ、本当は『10001本分の1で入る』というデータだったというだけ。

つまりデータで何よりも大切なのは母数。
多ければ多いほどデータは正確になる。
その当たり前のことを考える上で、渡辺はある答えにたどり着いていた。

どんなに相手の試合を見てデータを集めたところで、絶対に誤差は出る。
それはたとえ練習まで偵察して研究した相手でも同じ、100パーセントは無い。
だったらより正確にデータを得ることができるのは誰か。
それは自分にもっと近い選手、つまりチームメイト。
長い練習を共にしてきたチームメイトに関しては、癖や考え方まで熟知している。
毎回練習終わりのゲームが泥臭くなるのはその為だろう。
相手も自分のデータを持っている、だから裏をかく、その裏をかく。
試合においては、チームメイトのデータはかなり信用できる。

しかし、その先がある。

試合の相手より、自分のチームメイトより、詳しいデータを持っている選手が1人だけいる。

仲間を信じていないとか、信じられるのは自分だけだとか、そういう次元ではない。
ただ単純に、客観的にでは絶対に分かり得ないデータを得ることができる。
何試合ビデオを見返そうが、どんな高性能カメラで撮影しようが、何度1対1をしようが、絶対に見えない部分。
主観的な部分、めまぐるしく変わり続ける調子や感情。

つまり渡辺にとって、誰よりも詳しいデータを得ることができる選手はただ1人。
それは、自分、渡辺麻友。

渡辺のシュートは、ドライブのフェイクに半歩だけ下がった玲奈との間合いをついたシュートだった。
ボールに触られてはいないが、チェックは外れていない。
体勢は崩れ、フォームも良くなかった。
何よりそのシュート位置は、スリーポイントより1メートルほど後ろ、それはむしろセンターラインに近いと言っても過言では無い位置だった。
『24秒が迫り、何もできずに打たされた』
誰がどうみてもそんなシュートだった。

(いくらなんでも無茶苦茶だ)
渡辺のシュートを見た瞬間に秋元、そして宮澤、珠理奈はリバウンド体勢に入る。
そこに隙は無い。
抑えて勝利を確実なものにする。
チェックに行った玲奈も同じことを考えていた。
確率の悪いシュートを打たせた、と。
だがどうも腑に落ちない。
(この渡辺が……? 確率の悪いシュート?)
打つわけないのではないか、そんな考えが頭をよぎる。

渡辺をスクリーンアウトする玲奈には、シュートの弾道がはっきりと見えていた。
あれだけバランスを崩したにも関わらず、よく回転が掛かっている。
そしてまっすぐリングに向かっている。
嫌な予感がする。
感じてはいけない予感を、とてつもない勢いで感じている。
入るわけがない。決まるわけがない。
そう言い聞かせるしかない。
思えば思うほど、ボールはリングに吸い寄せられているような気がした。

ザンッ。

回転の掛かったボールがネットを引きちぎらん勢いでリングに飛び込んだ。
一瞬だけボールはネットに支えられて静止する。
すぐに重力に引っ張られてコートに落ちてくる。

「こういう勝負所で私が……渡辺麻友がシュートを決める確率……100パーセント」

大歓声、とまではいかなかった。
確かに観客、会場全体から驚きの声が上がったが、おそらくこの試合一番ではない。
それはあまりに渡辺のシュートが見事すぎたからだ。
どうみても偶然、単発のミラクルプレイにしか見えない。
それで逆転ならば違うのだろうが、まだ点差は4点ある。
諦めずによくシュートを打った、そんな雰囲気にしかならない。
その雰囲気とは少し温度差のあるフロア内、渡廊がいちかばちかのオールコートプレスを仕掛ける。

「当たれ!」

指原からボールを受けた玲奈に平嶋、仲川が一気に寄ってくる。
プレッシャーを受けながらも、玲奈は指原へのパスを見る。
無理ならば、上がってくる珠理奈、秋元へパスを出す。

「十桜、ここに来て冷静だ」

プレス突破の練習はすでにしてあった。
身長でも十桜が優っている。
落ち着いたパス回しでフロントコートまでボールを運ぶ。
そして玲奈はドライブを仕掛ける。
プレスはもろ刃の剣。
プレッシャーをかける分、突破されればあっという間に人数的に不利になる。
ヘルプも寄りにくくなる。
玲奈の前にはディフェンスの渡辺、そしてゴール下には秋元が見える。
さらに外には珠理奈もいる。
玲奈は珠理奈に目線を移す。
ボールも一瞬珠理奈の方へ動かす。
だが狙うのは秋元。
渡辺の足元、ノールックのバウンドパス。

バチン。

ボールは止められた。
渡辺によってパスがカットされた。
間違いなく、渡辺の足元を狙ったバウンドだった。
それを渡辺は大きく体を屈めて、手を出していたのだ。
ノールックの足元へのパス。
見てから反応は不可能。

「勝負所でオフェンスが決まった後、私の読みが当たる確率……100パーセント」

残り時間はあと30秒も無い。
渡辺が一気にドライブで攻めてくる。
パスミスを気にしている場合ではない。
必死で玲奈が食らいつく。
何かにぶつかる。
平嶋のスクリーンだった。
その一瞬の隙、わずかに空いた間合いで渡辺は躊躇なくシュートを放つ。
これも離れたスリーポイントだ。

「2連続でこんな無茶なシュートが決まる確率……よくても20パーセント」

玲奈のチェックを避けるため、渡辺は尻餅をついていた。
座ったままシュートの行方を見守る。
玲奈も慌てて振り返る。
その弾道はさっきのシュートと全く同じ。

打ち抜く……ゴールを。

「でも私がそれを引き寄せる確率、100パーセント」

今度は大歓声。
まさに会場が一体となった。
渡廊サイドも、十桜サイドも関係なく、全員がそのシュートに声を上げたはずだ。

「うわああああああ! 1点差ああああ!」

試合に引き戻される感覚。
まだ終わってないですよ、声を掛けられたように。
慌てて、会場に戻ってきたように。
そして期待する。
大どんでん返し。
奇跡の逆転を。

渡廊は必死の形相でオールコートプレスで当たってくる。
残り15秒。
泣いても笑っても、この試合最後の15秒。

続く

まゆゆのバスケ状態である。
長い試合も次回で終わります。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

とても大好きな展開です(≧∇≦)

麻友が緑間に脳内でイメージできました(^O^)
テニスの王子様の乾もちょっとプラスした感じで(笑)
是非、メガネをかけて欲しいですね

私自身このニックネームが青峰とまりやぎさんが好きだから合体させたものなのでw

Re: タイトルなし

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
黒子のバスケもお好きなんですね。
私は最近読ませていただきました。
今までのバスケ漫画には無い斬新さがありますよね。
あり得ないスーパープレーも開き直ってて面白いと思います。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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