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「スラムダンクはできないけれど」第24話

第24話「勝負所」

「また10番だ!」

菊地を抜き去り、珠理奈がミドルシュートを決める。
4点差。
すぐさま菊地はパスを要求する。

(正直もうディフェンスでは止められなくなってきてるよ……でもその分取り返しゃいいんでしょ)

今度は菊地が珠理奈を抜く。
得意のクロスオーバーからのストップジャンプシュート、外さない。
2点差。
もう一度ボールは珠理奈へ渡る。
菊地を抜く。
しかし今度は、渡辺がヘルプで距離を詰めて来ていた。
無理はせずに珠理奈はパスを選択する。
それを横っ飛びで渡辺がボールに反応する。

(珠理奈ちゃんから11番へのパス……まさにデータ通り)

先ほど珠理奈が小森のパスをカットしたときのように、渡辺の珠理奈への寄りもフェイクだった。
しかし、渡辺の手はボールに届かない。
ボールは渡辺の指先数十センチ先を通過する。
玲奈へのパスコースはきっちり塞いでいる。
それをかわすとなると、間違いなく玲奈へのパスは出ない。

(パスミス……? いや、違う!?)

珠理奈のパスの先に見えているのは、玲奈では無かった。
ボールが渡るのは、フリーになった指原だった。
この試合、スリーポイントは3本中0本。
いつにもまして、調子が悪い。
それでも珠理奈のパスは指原しかない。

この瞬間、渡辺は思い出す。
指原のデータを。
『スリーポイント決定率30%』
この数字は、スリーポイントを武器としていない選手であれば十分立派な確立だ。
他にシューターがいなければ、チェックを厳しくするべき数字。
しかし十桜高校には簡単に50%以上を叩きだす松井玲奈がいる。
チェックが甘くなるの仕方ない。
それでも、データ上……そろそろ決まる。

「決めたー! スリーポイントで5点差だ! 渡廊追いつかない!」

指原は決めた自分に驚いた様子で、目を丸くする。
そんな指原に他の4人は駆け寄り、それぞれが体中を叩く。
「いてて! 痛いっすよ、秋元さん」
「偶然でも何でも決めちまえばいいんだよ!」

その様子を渡辺は唇を、今まで以上に噛みしめながら睨む。
(偶然?……そんなんじゃない。データは出てた……私のミスだ)
あの場面、渡辺がヘルプに出た後ろに、それをフォローする形で平嶋が玲奈の位置まで下がってきていた。
それならば玲奈のチェックは平嶋に任せて、指原へのパスコースを塞ぐべきだった。
頭の回転が遅れたのだ。

(まだ時間はある……無理に3点を狙う必要はなし)
平嶋が一瞬視線を移したタイマーの表示は1分52秒。
2点ずつきっちり返していけば、逆転できる。
渡廊のセットプレーが始まる。

(このパターン……また初めての奴だ。何パターンあるんだよ全く)
渡廊のセットプレーはすでにこれで5種類目であった。
その度に十桜は出し抜かれ、点を取られている。
ねらい目は毎回違う。
3点なのか、2点なのか。

秋元は焦る。
自分のマークマンである小森が完全に視界から消えてしまっていた。
スクリーンをかけられ、その対応に追われているうちの一瞬の隙だった。
慌てて、ゴール下の小森を見つける。
その小森にパスが出たのはほぼ同時だった。

「ぶつかってけ! 小森!」
相手はファウル4つの秋元。
当然の声だった。
(ここで簡単に2点取られたら、また試合は分からなくなる……)
相手だって百戦錬磨。
流れというものを考えれば、3点差になった時点で逆転が確定する、と言っても過言では無い。
秋元が飛ぶ。
小森はすでにノーチャージエリアの中。
ディフェンス絶対不利の状況。

(勝負所は……ここしかない!)
「うおおおおおおおおお!」

シュートが放たれる小森の手のさらに上。
完全に空中のボールに、秋元の手は届いた。
ボールを弾き飛ばす。

「ファウルだ!」

平嶋が叫ぶものの、審判の笛は鳴らない。
それは誰がどう見ても、ボールだけを弾いていた。

「さっきの松井珠理奈のブロックも凄まじかったですけど、今度のはもっと凄い……4ファウルに全くビビってない」
「自分より身長の高い、しかもゴール下でぶつかってくる相手、2点取られてもまだ3点差。逆に自分はファウルになれば退場、チームの負けが確定すると言ってもいい。そこまでのリスクを冒してブロックする意味があったのかは正直疑問だ」

ボールを保持した指原から、宮澤にパスが出る。
一気に渡廊ディフェンスへ切り込んでいく。
ディフェンスに囲まれる直前、ノールックで宮澤はパスを放る。

「しかしそれだけのリスクを背負ったプレー……リターンは大きい」

そのパスに合わせたのは、ゴール下秋元。
ワンフェイク入れて最後のディフェンスを飛ばして、バックシュート。
ボールはボードをバウンドし、リングに収まる。

「ここでツインタワー! 7点差! 十桜7点リード!」

割れるような歓声には拍手のようなものも混じっていた。
それは、十桜に対する称賛の拍手。
おそらく渡廊サイドの応援団を除く、いやもしかすると渡廊応援団にもその気持ちがあるのかもしれない。
東京最強の王者と言われた渡廊を、見事に倒してみせた、都立高校を称える気持ち。
強豪私立を公立高校が倒すという一度は見てみたいようなシーンを、まさに目の前でやってのけた十桜高校に対する感謝。
会場の雰囲気は、完全に試合が終わっていた。

「絶対点を取って、絶対守りたかった場面。逆に守られて点を取られた……ほとんどとどめだ」

試合を見限ったのは、斉藤と田中も例外ではない。
残りは1分、7点差。
もちろん逆転があり得ない点差ではない。
しかし、今の渡廊には、その奇跡の逆転を成し得る雰囲気すらない。
逆に十桜の勢いは増すばかりであった。

「十桜すさまじいプレッシャーだ!」

体はとっくに限界を超えている試合終盤。
それでも十桜ファイブは全ての力を振り絞って足を動かす。
パスコースを切る。ボールプレッシャーをかける。
勝つ、勝つ、勝つ。
絶対勝つ。
何があってもこの勝機を取りこぼさないという必死のディフェンス。

渡廊はシュートどころかパスすら回らなくなる。
諦め、なんて言葉は、頭の中で考えるどころか、意識にだって、無い。
口に出すなんてことはまず無い。
それでも、どこか、意識の外の何かが折られた。
奇跡の逆転への踏ん張りどころ、渡廊の足は動かない。
前半十桜を苦しめた、データを駆使したパス回しは影をひそめた。
24秒が近づいてくる。

そんな中ボールをキープする渡辺が、玲奈のチェックを受けながら強引にシュートを放った。

続く

SSAのサプライズのショックで更新です。
早くしないとこの小説に出てくる前に卒業してしまいます。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

更新お疲れ様です!

オカロのプレーはコートに立っていないと分からない状況等がうまく書かれてる感じがしました!

なんか上からみたいになって申し訳ないですが私もやっていたので共感という意味なので気を悪くなさらないでください(>_<

小説には関係ありませんが
あっちゃんの卒業がありましたね…
とてもショックですがあっちゃん自身が決めたことなのなら応援したいですね!
また、更新期待して待っています!

Re: タイトルなし

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
いえいえ、上からの意見で結構ですよ。
試合の臨場感が少しでも伝わっていたら幸いです。

あっちゃんの卒業に関しては非常に驚きました。
これから小説でどのように扱っていこうか、迷っております。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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