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「スラムダンクはできないけれど」第20話

第20話「デッドライン」

(追いつける……追い越せる……!)
意識してはいけない、そうは思っても縮まる点差を見て、秋元はその考えを振り払うことが出来なかった。
王者渡廊高校相手でも十分に通用する自分の技術、そしてチーム。
やっと確信した。
都立十桜高校は強いと。

センター小森にボールが入る。
高さを生かしたパワープレーで押し込んでくるが、秋元は動かない。
ドンと構えた秋元は、まさに重い岩のようだった。
自分より低い壁に負けていることが小森を動揺させる。
判断が鈍る。

「小森、戻せ!」

平嶋の声を無視して、シュートを打つ。
リングに弾かれたボールを珠理奈が抑えて、十桜ボールになる。
オフェンス、45度の珠理奈から秋元にパスが入る。
左にターン、すると見せかけて、右にターン。
慌ててコースを抑える小森を逆に抜き去る。
シュートに行く。

(これで1点差!)

しかし、後ろから手が現れ、ボールを叩かれる。
ファウルの笛が鳴る。
慌てて振り返ると、後ろから叩いたのは菊地だった。

「あーファウルかあ。残念」

悔しそうに菊地は手を挙げる。
(なんて高さだ、菊地……)
6センチ身長が高い秋元を後ろからブロックする。
相当飛んでいるに違いはない。

(それでもフリースロー……きっちり決めれば)

会場が静まる中、1投目が決まる。

「渡廊にとっては、センター小森で優位性が無いってのが厳しいだろうな」
「秋元が相当すごいですからね。リバウンド、ブロック、まさにゴール下の支配者ですよ」

2投目、ボールはリングの奥に当たり、大きく跳ね返る。
偶然にも、それはリングから大きく離れた高いボールになったことにより、内側の渡廊選手と外側の十桜選手の有利不利が無くなる。
仲川の上から宮澤がリバウンドを奪う。
そして外の指原に戻す。
指原はすぐにハイポストで面を取る秋元にボールを入れる。
身長ではミスマッチだが、秋元が小森に負けるシーンが想像できなかった。
どうしても点を取りたいこの場面ならば、任せるしかない。

ボールを受けた秋元は、足を引いて小森と対峙する。
そして、一瞬。
ぽんっ、と鋭いシュートフェイク一発で、小森を飛ばす。
動きの止まる小森の横をドライブで抜いていく。
しかし、小森の後ろから突然相手ユニフォームが目の前に現れた。
何度もスティールを喰らった不敵な笑み。
ヘルプに出てきたのは渡辺麻友だった。
秋元のこのパターンも読まれていたのかもしれない。

(渡辺……いや、行ける!)

ここで追いついてしまいたい。
このピリオドは流れを持ってこなければならない。
相手は自分よりも遥かに体格が劣る選手。
勝負しないわけにはいかなかった。

渡辺がヘルプに行ったのを見た珠理奈は疑問を感じる。
いくらなんでも秋元と勝負するのは無謀すぎると。
何を考えているのかと。
そして、察した。
渡辺の考えが不気味なほど頭をよぎる。

―行っちゃだめだ、秋元さん!

間に合うわけが無かった。
声を出したそのときには秋元が渡辺の上からシュートを狙うところだった。
両者の体ががぶつかる。

「痛っ!」

ドタン! と音を立てて渡辺が倒れる。
その瞬間、笛が鳴る。

「ファウル!」

(痛っ……だきまゆゆー。なんつって)

「オフェンス! チャージング!」

審判は拳を突きだした。
その瞬間、秋元の顔が青ざめる。
「オフェンスだと……」
対照的に渡辺は舌をペロリと出して仲間とハイタッチをかわす。
「ナイス! 麻友!」
遅れて観客、特に渡廊サイドが盛り上がる。

「4番4つ目! 4つ目のファウルだ!」

秋元のファウルは4つ目。
5つ目を取られれば退場。
タイムアウトのブザーが鳴る。
当然とったのは安西だった。

「秋元さんは交代です。5番に宮澤さんが入って、4番は珠理奈さん、3番に北原さんで行きましょう」(※)
「でも、監督、私が代わったら誰が小森を止めるんですか!」

4ピリ序盤での4ファウル。
一旦ベンチに下げることは、試合において当たり前のことだ。
しかし、今は普通の試合とは違う。
この状況で秋元が抜けることがどれだけ十桜にとって大きいか。
秋元自身が一番それを感じていた。
いつもならあり得ないはずが、思わず監督の指示に反論してしまう。

「ここで秋元さんに退場してもらったら困ります。勝負所まで温存です」
「そうだぞ、あたしが代わりに止めてやっから、休んでな」

隣に座る宮澤がポンと秋元の肩に手を乗せて笑った。
それを無視して、秋元は安西に意見した。

「大丈夫です! ファウルしなきゃいいんでしょ!」

第4ピリオドはまだ半分以上残っている。
ファウルをしない、なんて言える根拠は無いし、無茶苦茶を言っているのは分かっていたが、この悔しさを持ったままベンチに下がれるわけがない。

「ここで私が下がるわけには……」
「休んでろって!」

一瞬誰が言ったのかわからなかった。
宮澤がそれだけ感情的な大きな声を出すことは珍しかったからだ。
いつものふざけているときの声とはまるで違う。
熱くなっていた秋元もこれには面を喰らう。

「佐江……」
「大丈夫。もうちょっとあたしを信用してくれ」
「宮澤さん、任せますよ」

大きく宮澤が頷き、席を立つ。

「流石に秋元を下げましたね」
「すぐに実感することになるぞ、キャプテンの大きさが」

迷わず平嶋は小森にパスを入れる。
マークするのは宮澤だ。

ドンッドンッ。

たった2回のドリブルで、小森の前にはもうゴールしかなかった。
余裕でゴール下を決め、ディフェンスに戻る。
倒れた宮澤の前にボールが転がる。

「あんな簡単にゴール下まで……」
「あれだけ身長があれば、小森のパワーだって相当なもんだろう。秋元だから今まで抑えることが出来たんだ」

ボールを運ぶ指原は、今まで見えなかったものが見えていた。
それは、小森の大きさだった。
秋元との1対1では、小さくさえ見えていた小森が、今はとても大きい。

「さしこ! くれ!」

それでもパスを要求する宮澤に思わず体が動く。
目の前にそびえたつ小森に宮澤は向かっていく。
しかし、見事にブロックされる。
ボールを得ても渡廊は速攻に来ない。

「速攻しなくても点をとれる場所があるからな」

またも小森が1対1で宮澤を下す。
6点差だ。

「これ以上は本当にまずいぞ」
「え? どういうことですか? 6点差なんて時間的に考えればまだまだ……」
「離されて6点差だからな。ここまで2回の11点差をしのいできたが、もうこの場面でその点差となったら……」
「追い上げる時間が無い……」
「ここがホントの、ホントの十桜のデッドライン」

絶対に点がほしいこの場面。
しかし、秋元はいない。
誰に任せようか、指原は迷っていた。
その迷いを消し去る声。

「もう1回だけ頼む。任せてくれ!」

宮澤がハイポストで面をとった。
再び小森と1対1だ。

「まあ、そんなに不安そうな顔をするな」

祈るように宮澤を見つめるベンチの後輩に、秋元が言った。
始めは手が震えるほど悔しかったが、勝負所まで温存、という言葉を思い出し冷静に体を休める。

「ツインタワーは元々私とあいつのツーセンターのことだ。センターの1対1に関しては安心していい」

ポジションがセンターだった頃の宮澤を秋元はよく知っている。
確信に近いものがあった。

「私が勝てる相手に佐江が負けることは無い」

続く

※……PG、SG、SF、PF、Cをそれぞれ1番、2番、3番、4番、5番、という言い方があります。
20話まで来ました。
長いです。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

ここで推しメンのさえちゃん活躍とかアツすぎるo(`▽´)o
更新待ってます!

Re: タイトルなし

> あおやぎさん

コメントありがとうございます。
さえちゃん推しですか!
期待して待っててもらえるとうれしいです。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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