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「スラムダンクはできないけれど」第19話

第19話「珠理奈VS菊地」

自分のマークマンからあっという間に9点取られる。
珠理奈にとっては初めての経験だった。
並みの選手であれば、心が折れてもいい。
しかし、珠理奈は違っていた。 

「……笑ってる?」

珠理奈のマークにつく菊地は動揺した。
オフェンスにおいてもディフェンスにおいても、これだけ差を見せつければ、一旦は退く。
パスに徹して他の選手で攻めたり、ベンチに戻ったり。
だが目の前の松井珠理奈は笑みを浮かべながら、パスを要求する。
自暴自棄になったのか、それとも、全く退く気が無いのか。
どちらかだった。
そして、この選手が前者でないことはよく分かっている。

(そう来なくっちゃ……面白くない!)

ボールを左に一度振り、右ドライブ。
(そのパターンはさっき止めた)
菊地が珠理奈の前に出る。
それを上回るスピードで珠理奈が菊地を抜く。
(さらに速く……!?)
ヘルプの小森をかわし、シュートが決まる。

(さっきまでは手を抜いていた? いやいやそんなわけないな)

菊地の考える通り、珠理奈には手を抜くなんて余裕は無かった。
しかし、目の前で見せつけられた菊地のプレー。
それが珠理奈の能力をさらに引き出した。
(あれが全国レベルのバスケか……)

ディフェンスに戻る珠里奈は、ふう、と一息つく。
「あんたが色々と苦労してんのは伝わってきた」
相手の気持ちが伝わってくるようなプレー。
これも珠理奈は初めての体験だった。

「でも、こっちにも色々と譲れない思いがあるんですよ!」

まさに閃光。
一瞬で珠理奈が菊地からボールを奪う。
そのまま一気にフロントコートまで駆け上がる。
平嶋、仲川、そして最後に立ちはだかった渡辺まで抜き去り、レイアップ。
先ほどの菊地の3点プレーとは対照的に、今度は会場が静まり返る。
そして、スコアボードに2点が追加されると同時に、歓声が爆発する。

「何だ!? 今の速さは!?」
「菊地からスティール、それでもって3枚抜きだと……」

珠理奈に注目し、目が慣れていた田中と斉藤でさえも、開いた口がふさがらない。

「やっぱあたしバカかも」

スティールを喰らい、3枚抜きをする背番号10を呆然と見つめていた菊地が呟いた。

「勝手にうわ手を取った気でいたよ……燃えてきた」

珠理奈のスティールは目に焼き付いている。
それでも、菊地のただならぬ目に、渡辺はパスを出すしかなかった。

「あの人がいたから私はスコアラーとしての活躍を諦めたんですよね」

突然話しかけられ驚く玲奈に、渡辺はさらに一言添える。

「ヘルプ……行った方がいいですよ」

玲奈が菊地へ寄った時にはもう遅い。
シュートが決まる。
外側ドライブに対して珠理奈が反応したところをロールターンでかわしたシュートだった。
シュートを決めても菊地の表情は和らがない。
(やっぱ反応良くなってる)
さっきまでは1歩目の外側ドライブで十分抜けていたシチュエーションだった。
(まさか地区予選からこんなすげえのと当たるとは思ってなかった)

今度は珠理奈のドライブ。
内側、肩で菊地のディフェンスを受けながらロール。
ジャンプシュート。決まる。

すぐに菊地が仕掛ける。
ドライブ……に行くと見せかけてのレッグスルー。
ジャンプシュート。決まる。

「どちらも外さない……!」

エース同士の意地のぶつかり合い。
観客が息をのんで見つめる中、両名共に3本、6点ずつを奪い合う。

「体力的につらいのは、松井珠理奈か?」

全力でコートの往復を繰り返している。
その上シュートを外さない集中力を保ち続けなければならないのだから、体力の消耗は激しい。

「菊地はこの第3ピリオドで一気に仕掛けた。それに対して第1ピリオドからずっと同じペース、そしてこの場面でも何とか菊地についていっている松井珠理奈は体力が持つはずがない」

菊地は高校レベルの全国を経験している猛者。
エースとしての試合の組み立て方という点では、珠理奈よりも上だった。

(くっそ!)

ついにその均衡が崩れ、珠理奈がシュートまで行けなくなる。
ゴール下で囲まれる。
しかし何とか短いパスを出す。
秋元がゴールを決めてくる。

「じゃ、うちもちょっと休憩……」

菊地はスピードを緩める。
珠理奈よりは余裕があるとはいえ、菊地の体力も限界に近い。
そう誰もが思ったその瞬間。
油断した珠理奈を抜く。
「なんてな!」
(しまった……! バカか、あたしは!)
ここで菊地が決めれば、実質エース対決は菊地に軍配が上がることになる。
すでに珠理奈は菊地の後ろ、追いつけない。
そのまま菊地がレイアップに行く。
しかし、最後の壁、秋元が立ちはだかる。
関係なく、菊地はアタックする。
体がぶつかるが、ファウルは取られない。
そして、シュートはこぼれる。

「なにっ!?」

リバウンドを制した宮澤から指原へ。
指原は一度珠理奈を見るものの、パスを止める。
そして自分のシュートを選択する。
指原は決してスリーポイントが得意な選手ではない。

「大丈夫ですよ、ゴール下にはこの人いるんだから」

秋元才加。
外れたシュートのリバウンドを奪い、ゴール下。
高く伸びる小森の腕を弾き飛ばしてシュートを決める。

「バスケットカウント、ワンスロー!」

秋元からガッツポーズが飛び出す。
フリースローを落ち着いて決める。

「これでまた5点差……十桜なんて粘りだ」

平嶋は一度菊地へのパスフェイクを入れる。
わずか半歩ディフェンス全体が動いた隙に渡辺へパス、そして自らスクリーンをかける。
渡辺が内側にドライブする。
逆サイドの菊地の存在が、ヘルプを遅らせる。
ほぼフリーで渡辺がゴールまで迫る。
(いただき、まゆ……)
「ふんっ!」
秋元が突然目の前に現れ、渡辺のボールを叩き落す。
(どっから出てきた!?)

こぼれ球は玲奈が拾った。
そのまま前を走る指原へパス。
平嶋対指原の1対1。
(勝てる気がしないけど……ここで決めるしかない)
ミドルシュートか、レイアップか。
選択肢はそこまで多いわけではない。
(よし、ミドルシュート……)

平嶋は読んでいた。
指原はミドルシュートを打ってくると。
前半にドライブは何度も潰した。
ここは近づかずにシュートを打つしかない。
別にミドルレンジが不得意なわけでもないだろう。
指原がスピードを緩める。
(やはりシュートか!)
平嶋がチェックに飛ぶ。
その瞬間、指原は再びスピードを上げ、平嶋を抜き去る。

(飛んでくる……そんな予感がした)
平嶋を抜き去り、レイアップを決める。

「3点差! 十桜もう追いつくぞ!」

十桜の驚異の粘りに会場も期待の盛り上がりを見せる。
第3ピリオドはもうほとんど時間が無い。
平嶋が渡辺にパスを入れ、ブザーと同時に渡辺がシュートを投げて終わった。
そのシュートがボードの上方に当たり、ボールがあさっての方向に飛ぶのを確認すると、観客は思う。
まさか、4ピリまでもつれ込むなんて、と。

続く

というわけで第3ピリオド終了。
いよいよ勝負の第4ピリオドです。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

まゆゆーw

一進一退の攻防ですね


まゆゆのれなへの発言鳥肌でしたo(`▽´)o


また、更新待ってます!

Re: まゆゆーw

>あおやぎさん

コメントありがとうございます。
試合中相手に話しかけるなんてあんまり聞いたことないんですが、漫画やアニメでは当たり前ですね。
楽しみに待っていてください。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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