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「スラムダンクはできないけれど」第12話

第12話「データバスケ」

珠理奈と玲奈は珍しく並んで学校の廊下を歩いていた。
バスケ部での活躍はとっくに知れ渡っているとはいえ、172センチの女子が2人並んで歩けば、他の生徒からの視線を集めない理由は無い。
これで2人が横にも広いような体格であれば「デカい」で済むのだが、残念ながらスタイルもいい。
「背が高くて綺麗」と表現するしかない2人が並んで歩くことはある意味、それを見上げる女子からしてみれば、それだけで嫌味に思えるのかもしれない。

「今日は……何するんだろ? 練習もしないで」
「うーん。知らない」

向かう先は体育館では無かった。
学校の端の方にある空き教室だった。
入部直後から体育館での練習しかしていない1年生にとっては、放課後に体育館ではない場所に集合をかけられることは初めてことだった。
教室のドアを開けると、2人以外のメンバーはすでに揃っていた。

「おっそいよ、2人とも」

高柳が自分の席の隣をバシバシと叩く。
こっちの席に来い、ということなのだろう。

「いやあ、ホームルームが長くなっちゃってさ。ね、玲奈」
何故かぎこちなく口裏を合わせるような口ぶりになってしまったが、別に嘘でも何でもない。
「あの先生は……話が内容の割に無駄に長い」
意外と玲奈が毒舌なのを知ったのは最近だ。

珠理奈と玲奈が席に着いたのを見て、秋元が立ち上がり、話し始める。

「今日は見ての通り、練習ではない」

そう言いながら、手元にあるビデオカメラをテレビとつなぐ。
この時点で、何をするのか大体察しがつく。

「来たる決勝リーグに向けて相手チームの研究だ」

同時に宮澤が前方の黒板にリーグ戦の日程等が書かれた表を張り付ける。

「第1戦、湘陵高校、第2戦、渡廊高校、第3戦、誠王高校となった」

高校に入ったばかりの珠里奈達でも知っているような強豪校に並んで都立十桜高校の名前が確かにある。
都ベスト4まで登ってきたという実感が確かに湧く。

「全国へは上位2校が進出できる。つまり2勝すれば全国へは行けるというわけだ」

もっと言えば1勝でも得失点差で2位に入れば全国へ行ける可能性がある、と秋元が付け加える。
高柳がふんふんと頷く。

「しかし! 十桜高校バスケ部の最終目標は何だ? 北原!」

突然秋元が北原に人差し指を向ける。
慌てて北原が答える。

「全国優勝です!」

全国を本気で目指す方大歓迎、仮入部期間は設けません、というポスターは今でも目に焼き付いている。
優勝はまだまだ見えないものかもしれないが、いよいよ全国大会出場は、現実味のあるものとして見えてきた。

「そうだ。もちろん1つの目標として全国『出場』というのは設定すべきだ。だが、全国へ行った、だけでいいわけがない。そうだろ指原?」
「でも都立高校が全国へ行けば十分立派な気が……」
「おいおい指原、グラウンド走ってくるか?」
「嘘です! 指原の冗談ですよ」
「だったら分かるな。この決勝リーグでの目標が。珠理奈」

北原にしたのと同様に、突然人差し指が向けられた。
突然の振りにも物怖じせず、珠理奈は目を輝かせて言った。

「最低でも3勝、最高でも3勝です」

その言葉を聞いた、高柳と玲奈、2年生、指原も、そして秋元、宮澤、十桜高校バスケ部全員が、小さな笑みを浮かべた。
強い自信から来る、不敵な笑みだ。
その様子を見て、秋元が満足気にうなずいた。

「異論は無いようだな。東京1位無くして全国はありえない」

はいっ、と元気な声が響いたところで、秋元が再生ボタンを押す。

「今から見るのは、その目標において最も壁になるであろう、渡廊高校の試合だ」

テレビ画面に映った試合は、準々決勝の試合だった。
流石強豪校なだけあり、大応援団に、大きな横断幕が飾られている。
高校の試合にもかかわらず、渡廊高校のホームゲームのような雰囲気だ。

「17年連続で全国出場を果たし、特にここ数年の強さは圧倒的で決勝リーグにおいてもダブルスコアは当たり前だ。全国ベスト4の経験もある」

秋元が手元の資料を見ながら話す。
部員は画面を見ているため、その声が耳に入っているのかは分からない。
試合は序盤から渡廊が圧倒する展開だった。
相手はシュートにすら行けない。

「何か気持ち悪いほど強いっすね。やらせみたいだ」
指原がため息をつきながら言った。
「その強さはおそらくデータバスケだ。相手を徹底的に調べ尽くしてから試合に臨む。もう相手は何をやっても手の平の上だ。まるでやらせみたいに」
相手もベスト8まで上がってきた相当なチーム、選手だ。
そのすべてを見切ったディフェンスは、まさに鉄壁だ。

「じゃ、うちらの準々決勝はもう研究されてるってわけか」
「いやいや、それどころじゃないんだろ。決勝リーグ第1戦まで研究してくるのは覚悟しないと」

高柳と珠理奈の会話を聞いた、秋元が口をはさむ。

「いや、もっとだ」
珠理奈はその言葉の意味が分からず、一瞬変な間が開く。
自らの試合の1試合前までは研究してくる、それが珠理奈の発言だ。
それに『もっと』はあり得ない。
「どういうことですか?」
「見てれば分かる。第2ピリオドまで待ちな」

珠理奈と高柳は目を合わせて首をかしげたが、秋元に言われたとおり、おとなしく第2ピリオドまで待つことにした。
渡廊があっという間に20点のリードを奪って、第1ピリオドが終了した。

「強すぎじゃね!? ちょっと渡廊やばくね!? どうしよ、りえちゃん、しいちゃん、あみなちゃん」

騒ぐ指原をよそに、第2ピリオドが始まる。
秋元が言う、注目の第2ピリオドだ。

「あれ、選手が代わった?」

第1ピリオドとは選手が2人交代していた。
どちらもガードポジションのようだ。
代わる前と身長は大して変わっておらず、見た目に変化はほとんど無い。

「これがある意味、本当のスタメンだ」

秋元の言葉通り、第1ピリオドにも増して、渡廊の勢いが止まらなくなる。
第1ピリオドで唯一点を奪えた相手のエースも完全に止められてしまっている。

「司令塔であるガードに第1ピリオドまでデータを取らせ、試合前までのデータと一致するか確認する。誤差があれば伝えて、修正する。つまり半分第1ピリオドは捨ててるんだ。第1ピリオドでリードされても、そこから逆転した試合も多い。ま、地区予選ではその第1ピリオドですらリード出来る学校が無いんだがな」

『もっと』の意味をようやく理解する。
つまり、第1ピリオドまで研究してくる、というわけだ。
まさに徹底したデータバスケ。
ここまでやるような学校は見たことも聞いたこと無いだろう。
それが故に全国でも戦える、と言ったところか。

「春までは交代は1人、ガード平嶋のみだった。ただ今大会は少し違うようだ」

秋元が指さす平嶋とは別に、もう1人の交代選手。
背番号は21を付け、また夏から登場したとなれば、明らかに1年生だろう。

「シューティングガード、渡辺麻友。1年だ」

そう秋元が言った瞬間、珠理奈と高柳が顔を見合わせ、音を立てて立ち上がった。
そして、画面にさらに近づき確認する。

「渡辺麻友!?」

突然のことに部屋は騒然となったが、テレビに映る試合は続く。

「なんだ、お前ら知ってるのか?」
興奮する1年生2人に、座れ、と促しながら秋元が聞いた。
すいません、と謝りながら高柳が答えた。

「知ってるも何も、同じ中学ですよ」

秋元の持つ資料には、確かに書かれていた。
渡辺麻友、出身中学、坂江中学校と。

「ホントだ、そうなのか! それはラッキーだ。一番謎の選手だったからな。どんな奴なんだ?」
夏の試合から突然登場した1年生に頭を悩ませていた秋元にとっては思わぬ救いだった。
しかし、その事実を知った珠理奈と高柳の表情は、浮かない。

「麻友ちゃんは頭がいいんです。試合じゃ珠理奈ちゃんの次に点を取るエースで」

珠理奈にとってこの知らせは嬉しかった。
同じ中学で一緒に戦ったチームメイトが東京最強と言われる強豪校で活躍している。
誇らしくもあった。
しかし、その活躍する学校のスタイルを聞いて、ある意味当然であるとも思っていた。

「何より……データに基づいたバスケが得意なんです」

いくらデータを採っても、それを表現できなければ意味がない。
どちらかというと珠理奈は得意ではない。
逆に渡辺はデータを頭に叩き込み、常にそれを考えながらプレーする能力に長けていた。
別に坂江中学がデータバスケを使うわけでは無かったが、それでも渡辺は1人データを採り、試合に持ち込んでいたのを珠理奈はよく覚えている。
渡辺にとって渡廊高校は願っても無い高校。

「なるほど、つまりデータバスケが得意な選手がデータバスケが得意な高校に入ったわけだ。相性抜群だな。そりゃ1年から使われるわ」

相手にとっては、最高の組み合わせ。
逆にこっちにとっては最悪の事態。

「試合数の少ない珠理奈を知られているのは痛いよな……珠理奈と玲奈が相手のデータバスケに対抗できる要素だと思ってたんだが」

秋元が、ふーむ、とため息をつく。
試合は、すでに40点差がつき、第3ピリオドからは控え選手が相手をしている状態だった。

続く

むしろ今までモニタリング無しで挑んでいたのかよ、という。
ちょっと前までは渡辺麻友は1年生のイメージだったんですが、ソロデビュー等であっという間に3年生っぽくなっちゃいましたね……もちろんこのまま1年生で行きますが。

あと、高橋みなみさんが正式に事件についてコメントしましたね。
良かったです。いやもうホントに。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

No title

ご訪問いただきましてありがとうございます。杉上左京と申します。

いやぁ読み込んでしまいました。とても面白いです。自分もアニメのスラムダンクは見ていましたので懐かしく感じました。特にキャラの設定もいいですね。私はSKE推しなのでメンが多数出てていいなって思いました。

正直体育の授業でしかやったことのないバスケ。それでも何か読んでいるうちに雰囲気が伝わってきて青春な感じがしました。

他の作品も機会を見つけて読んでみたいと思っています。今後の展開を楽しみに待っております(^ω^)

No title

スラダン、一気に読んできました!!!

いや、面白いです。私、スラダンは全巻揃えるくらい好きなんです。
それを彷彿とさせながらも、オリジナリティがあってそれぞれのメンバーのキャラが生きてて。
都立の学校に「おい、こんなスゴイ選手がいるのか?」って展開は個人的に大好きなストーリーです。
玲奈のシューター、才加佐江のツインタワー、亜美菜の活躍、珠理奈の素質溢れるプレー…
その他のメンもすごくいい味出てますね。さっしーのウザさがまた最高(笑)

さて…ワロタが最強の相手…こりゃまた楽しみですね。

Re: No title

>杉上左京さん

こちらこそ訪問、コメントまでありがとうございます。
お名前の方も存じ上げております。
スラムダンクは私も漫画を読んで非常に感動いたしました。
SKE48に関しては非常に知識が乏しくてですね、見ての通り2人の松井さんと高柳さんしかまともな役として登場させられないんです、お気を悪くしないでください。

「名探偵ジュリナ」読んでます。
更新大変楽しみにしております。

Re: No title

>四谷さん

コメントありがとうございます。
スラムダンク、私も大好きです。
このセリフの後に『今度は嘘じゃないっす』を付けたくてしょうがないくらい好きです。
彷彿とさせるつもりはないんですが、やっぱり影響が強いんですかね。
どうしても書きたいシーンを思い浮かべるとスラムダンクばかり出てきてしまって。
気に入ってくださったなら良かったです。

更新のペースは遅いですが、楽しみにしていてください。
プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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