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「スラムダンクはできないけれど」第7話

第7話「下木唐中学バスケ部」

「やっぱり相手は赤須か」
秋元に別会場の試合結果を聞いて、宮澤は言う。
赤須高校は、春にもベスト4決定戦で当たり、十桜をベスト8止まりにした高校である。
「春とは違う。頼もしい後輩が入った。もう負けん」
秋元の言葉に、宮澤は素直に頷いた。

「ただ、一つ気がかりなことがある。監督に言われたことだ」
「監督? 何を言われたんだよ」
秋元は、自分から言い出したくせに少し言いづらそうに眉を曲げた。
それでも最後は諦めて口から言葉をこぼした。
「玲奈だ」
それだけでは秋元が、監督が何を言いたいのか、さっぱり宮澤には分からなかった。
どういうこと、と問う前に秋元の言葉が続いた。
「監督によると、玲奈のプレーはどこかおかしいらしい」


ちょうど試合が終わった後のことだった。
帰り際の秋元に安西が声を掛けた。

「秋元さん」
「あ、監督、お疲れ様でした」
「聞きたいことがあります。松井玲奈さんのことなんだけど、彼女って怪我とかしてます?」

秋元は一瞬考えた。
しかし彼女には怪我をしているような素振りは全くない。
テーピングやサポーターもつけていない。

「特にしてないと思います」
「そうですか……」
「何かあるんですか」

怪我をしていない、と聞いてさらに深刻な顔をする安西を不思議に思った。
逆ならまだしもだ。

「彼女のプレーはとても強気で攻撃的ですよね。オフェンスもディフェンスも」
「まあ……はい、確かに」
少しでも隙があれば、シュートを放ち、ディフェンスは常にスティールを狙う。
バスケのスタイルで言ったら攻撃的な部類だろう。

「でもおかしんですよ。彼女ゴール付近だとディフェンスとの接触を避けるでしょ」
「そうでしたっけ……」
確かに、玲奈がゴール付近でディフェンスとぶつかる映像が思い浮かばなかった。
思い浮かぶ映像は、フェイドアウェイだったり、フックショットだったりだ。

「そういえば、ゴール付近では逃げるプレーばかりですね」
「そうなんですよ。本来一番攻撃的なスタイルが出るはずのゴール下でまるでディフェンスとぶつかりに行かないのはあまりに不自然です」
それが本人の故意なのかは分かりませんが、と安西は付け加えて眉をハの字に曲げた。
「今までは何とかなってましたけど、困ったことに次の相手は見逃してはくれないでしょう」
そこまで言うと、安西は小さくお辞儀をして、帰って行った。


珠理奈は、玲奈と高柳とちょうど会場から出るところだった。
そしてすぐに気付いた。
3人並んで歩く自分たちを、ずっと見ている者がいることに。
怪訝そうに見返すと、その見知らぬ少女は近づいてきた。
(やべ、何か絡まれるかな)
慌てて下を向いて、目を逸らす。

「よ、玲奈。お疲れ」

まず、挨拶の相手に驚いた。
このメンバーの中で珠理奈の知り合いでは無ければ、自動的に高柳の知り合いでもない可能性が高いのは分かっている。
それでも玲奈の知り合いとは、驚いた。

「り、璃香子ちゃん」

察するに、中学の同級生だろう。
璃香子と名乗る少女は、170センチくらいの長身だった。
手にバッシュケースを持っていることから、先ほどの試合を見ていたこと、そしてバスケ経験者であることも分かる。

「大分、足は良くなったんだ。高校でもバスケ出来そう」

別に何もおかしい所などない、他愛もない話だった。
しかし、その言葉を聞いた瞬間に、玲奈の表情が曇り、白めの顔がもっと白くなったのが分かった。
さすがにそんな玲奈の顔は見たことが無い。

「ご……ごめんね」
「え、玲奈?」
「……ごめん」

そう言って玲奈は、話も途中に走って道を先に行ってしまった。
その姿を見て、玲奈の同級生は肩を落とす。

「何だ? お前ら仲悪いのか?」
「珠理奈ちゃん、言葉に遠慮がないね」

特にその言葉に怒ることも無く、目の前で起きたことを不思議がる珠理奈と高柳にその少女は声を掛けてきた。
「一つ、聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
平田と名乗るその少女は、珠理奈の予想通り玲奈の中学時代のチームメイトだった。
当然玲奈のことを聞いてくるのだろうが、こちらも玲奈のことをあまり知らないという不安はあった。

「玲奈は、今日の試合みたいに3点プレーを全然しませんか?」
「スリーポイントなら馬鹿みたいに入るけど」
「違うよ珠理奈ちゃん、バスケットカウント貰ってフリースローを決めるってことでしょ」
「そうです」
「だったらあんまり無いな。玲奈はファウルを貰うプレーなんてほとんどしないよ」
「やっぱり……」

やっぱり、という言葉に引っかかる。
何のことだかは分からないが、玲奈がディフェンスにぶつかっていかないのには、理由があるということである。

「どういう意味?」
「元々玲奈はあそこまでスリーポイントだけの選手では無かったんです」


玲奈の中学、下木唐中学のバスケはとにかく「激しく」がモットーだ。
オフェンスでもディフェンスでも、相手にぶつかって点をもぎ取る。
そのスタイルに玲奈は初めは戸惑ったものの、すぐに慣れ、自信もあった。
中学からバスケを始める者も多い中、経験者で背が高く、スリーポイントも打てる玲奈は、チームの中では飛びぬけていた。
1対1に関しては、ほとんど相手がいなかった。
そんな玲奈の貴重な相手が務まるのが、同じくらいの身長で、経験者の平田だった。

「玲奈、もっと当たってきていいよ。ファウルを狙うくらい。玲奈のスリーに強いドライブがあれば最強だよ」
「分かった。んじゃもう一本」

シュートフェイクからドライブ。
横に付いてくるディフェンスに体を当てるようにして、ゴール下を決める。
平田を吹っ飛ばした。

「おお! 玲奈やるね。今のバスカンだよ」
「大丈夫?」
「うん全然平気」

毎日のように練習に明け暮れ、玲奈、平田、共にかなりの実力をつけていった。
ある日の放課後、平田は玲奈に、恥ずかしそうにしながらも言った。

「マジで今年は全国狙えるかも」

別に下木唐中学は、強くもなんともない弱小校。
誰も全国なんて考えている者はいなかった。
玲奈はそう思っていた。
しかし、いたのだ。目の前に。
全国を本気で目指しているチームメイトが。

「じゃ、行こうか、全国」

その言葉通り下木唐中学は、地区予選を玲奈、平田を中心に順調に勝ち進んだ。
本当に全国が見えてきたというところだった。

しかし、事件は起こった。

いつもと何も変わらない、1対1の練習。
当然、玲奈の相手は平田だ。
45度で受け取り、シュートフェイクからドライブ。
横に付いてくる平田に体を当てるようにゴール下を狙う。
しかし、平田はさらに回り込んできた。
正面から玲奈を受け止める。
負けじと玲奈もぶつかりに行く。
そのまま平田とぶつかりながらゴールを決めた。
ぶつかった瞬間に、平田がすぐに視界から消えたのが分かった。
力なく、道を開けた平田を不思議に思いながら、目を移す。

そこには、右膝を押さえ、声も出ないほど苦しむ平田の姿があった。

結局、平田を欠き、エース玲奈絶不調の下木唐中学が、全国の舞台に立つことは無かった。


「玲奈は……多分あのときのことを思い出して今でもディフェンスにぶつかるプレーを避けているんです」
「そんなことがあったのか……」
思えば、平田はさっきから体重は片方の足にかけた状態で立っており、歩く時も引きずるような様子が見られたかもしれない。
「無理にディフェンスした私のせいなんです」
「別にあんたの責任ってわけじゃ……バスケやってれば怪我する、させるはいくらでもあることだし」
それがトラウマになることだってある、ということまでは珠理奈は口から出せなかった。
その発言に責任を持てなかったからだ。
いつもは口数の多い高柳もこのときは黙っていた。

「いきなりこんな話してごめんなさい。試合頑張って」
と平田が言って別れるまで、非常に気まずい時間を過ごすことになった。

続く

あの騒動で結構この小説も困ったことになってます。
書き溜めっていうものがありまして……出ちゃってるんですよね、1期の彼女が。
どうするかはこれから考えます。
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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Secre

はじめまして!

タイトルに惹かれて見させて貰いました。

すっごく面白いです!
続きがとても気になります。これからも更新頑張って下さい!

ただ、ガードも含めて皆大きいなぁ。
身長が低くても、それを補うスピードと、ドリブルの技術がある選手がいても良いと思いました!

Re: タイトルなし

>ゆうさん

コメントありがとうございます!
タイトル通り、某有名バスケ漫画にはかなり影響を受けています。

そうですね、少々大きいとは思います。
私としては、ある程度の現実味を考えたつもりです。
ご本人様の身長そのままですと小さすぎると思いまして。
その結果、単純に10センチ足させて頂きました。
これから他のメンバーも登場させるつもりですので、ご意見参考にさせて頂きます。
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ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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