スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「スラムダンクはできないけれど」第4話

第4話「初戦」

試合の前日、珠理奈は中々寝付けなかった。
その理由が緊張なのか、興奮なのか、はたまたどっちもなのかは分からない。
早く寝ないといけない、そう思えば思うほど目が冴える。
実際は1時間も経っていない、しかし布団の中に何時間もいる気がしてくる。
そして、これはもうダメだ、と長い夜を覚悟したところで、気づかぬうちに朝を迎えることになる。
珠理奈は決して朝に強いわけではないが、驚くほどにすっきりとした目覚めだった。
前日の内に準備しておいたバッグをもう一度確認する。
バッシュ、タオル、着替え、そして「10」の背番号のユニフォームを間違いなくバッグに入れる。
時間に余裕もあり、万全のコンディションだった。
軽い足取りで、珠理奈は家を出た。


練習は地獄だった。
何度も死ぬかと思った。
ただ走る練習。これが一番きついのだと今までは思っていた。
しかし、このバスケ部の練習で、その考えを改めた。
一度もボールを使わない練習が無い。
走る練習でも、ディフェンスの練習でも、必ずボールを絡めたメニューになっている。
それが、この上なくきつい。
ただ走るだけの練習の方が楽だと思ったのは、初めてだった。

「おい! 集中しろ!」

やっと練習の内容を把握したばかりの1年生でも、ミスが出ると秋元キャプテンからの檄が飛ぶ。
先輩の練習に混じるということは、扱いも台頭になるということだ。
練習メニューを前日に予習しておくことは、当然になった。
始めは沢山いた部員もみるみる減った。
もう1年生どうしでミニゲームは出来ない。

しかしそのおかげで、普通の学校であれば3年が引退するまで蚊帳の外に近い1年生が、十桜高校では早い段階で先輩になじむことが出来た。
もうコートの中では同じ目線で意見のやりとりが出来る。
始めは、いきなり先輩に意見するのには気が引けて、不満を溜めていた。
すると3年生2人、秋元と宮澤は、どういった超能力なのかは分からないが、珠理奈に意見を聞いてくるのだ。
何か不満に思っていることがあるんじゃないのか、と。
部に入りたての珠理奈達が、同じチームとしての目標のイメージを具体的に共有するまで時間はかからなかった。
そのため試合前日、ユニフォームを1年生ながら受け取ることに全く抵抗が無く、至極当たり前に受け取ることが出来た。


待ち合わせはいつもの駅だ。
しばらくすると、高柳がやってくる。
じゃんけんに負けて持つことになった、自分の体と同じくらいのボールケースが、彼女の体を振り回しているようにも見えた。

「おはよ、珠理奈ちゃん。どう、調子は?」
「自分でも驚くくらいコンディションはいい」
「そりゃよかった。珠理奈ちゃんスタメンっぽいからね」

試合までに練習試合は2回あったが、相手は格下で、自分たちの強さはよく分からなかった。
どうせやるなら格上とやりたかったが、断られてしまったそうだ。
そして、その練習試合では珠理奈がスターティングメンバ―として名前が呼ばれた。
それが今日の初戦でも同じかは分からないが、期待はしている。

電車の2回目の乗り継ぎで乗った電車の同じ車両に、見慣れた黒髪の少女を見つけた。
相変わらず、背は高いのに、影が薄い。

「玲奈だ」
「あ、玲奈ちゃん! こっちこっち」

高柳の恥ずかしいくらい大きな声に気付いて、玲奈が隣の席にやってくる。

「おはよ、明音ちゃん。でも声がでかいよ」
「明音は昔からこんなんだよ」
「そうなんだ。珠理奈ちゃんも大変だね」
「もう慣れた」

玲奈とは、当然のことかもしれないが、以前に比べたら遥かに話す回数が増えた。
話す回数が増えた、というより、バスケ部が始まるまでは話してもいなかったのだから、話すようになった、と表現するべきかもしれない。
特に珠理奈はコートの中でよく話すようになった。
練習では敵同士ならばマッチアップ、同じチームならばコンビとして、プレーすることになる。
珠理奈が驚いたのは、普段は物静かな玲奈が、コートの中ではよくしゃべるということだ。
意見の衝突も何度かあり、先に熱くなるのは珠理奈だが、結局意見を曲げない玲奈も頑固なのだ。
似た者同士だ、とあっという間にチームメイトの内で呼ばれていることは、少なくとも珠理奈は知らない。

集合時間ギリギリで、秋元と宮澤が到着し、全員が揃った。
「全く、試合初日から寝坊するなんて。3年生としての威厳が無くなる」
「ごめん、才加。もっと早く起こしてくれればよかったのに」
部長と副部長がいきなり息を切らす集合となったが、無事に会場へと出発する。

会場に到着すると、各々着替えて、試合に向けての準備を開始する。
まずは1試合前のハーフタイムのアップに向けてアップ。
ハーフタイムのアップは短いが、その日のボールの感触や体の調子を確かめる大事な時間だ。
それが終わると、ついに自らの試合に向けてアップ。
当然珠理奈は高校初めての公式戦だが、ここまでは中学と全く同じで、ほどよい緊張感だった。
あとは着々と近づいてくる試合に向けて、ただテンションを上げるだけだ。

ついに前の試合が終わり、ベンチとコートの半分が十桜のために空く。
駆け足で荷物をベンチに置き、秋元中心に円陣を作る。
「緊張しないで。落ち着いていこう」
秋元の言葉に全員が頷く。
5分前から「緊張する」しか口から出てこない指原も頷いた。
「よし……十桜、ファイ!」
「オウ!」
試合前、最後のアップの頭にはこの掛け声をやることのが決まりだ。

そして、レイアップ、2対1、シューティングをこなしてついに試合開始1分30秒前を示すブザーが鳴る。
すかさず秋元によって集合が掛かる。
それを聞いて、監督の安西を囲むように選手が集まる。

「スタートは、秋元さん、宮澤さん、指原さん、珠理奈さん、玲奈さん、でいきます」

呼ばれた5人はすぐにジャージを脱ぎ、ユニフォーム姿になる。
4、5、6、そして飛んで10、11の番号の、赤いユニフォームが並んだ。

「落ち着いてやれば全く問題ない相手です。初戦大事に行きましょう」

はい! と力強い返事で、5人がコートに出る。
当然ベンチのメンバーも声を出して盛り上げる。
一番テンションが上がる時間だ。

都立十桜高校のインターハイ予選がついに始まった。

続く

実際走るだけの練習の方がきつくね? っていうのは言わない約束でお願いします。
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

Secre

プロフィール

ウロマム

Author:ウロマム
どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。