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「スラムダンクはできないけれど」第2話

第2話「入部」

「まさか珠理奈ちゃんと同じくらいの背の子がいるなんてね」
「しかも同じ苗字だしな」

入学から数日が経った。
クラスにもいくつかのグループができ、ようやく学校らしい雰囲気になってきた。
珠理奈は、登下校は高柳と過ごしているものの、クラスの中では何人か話せる友達が出来たところだった。
松井玲奈とは大して話はしていない。
彼女が人見知りで向こうから話しかけてくることは無いし、自分には他に談笑する相手がいるからだ。
存在としてはクラスの誰よりも意識しているが、接点は無かった。

「珠理奈ちゃん、部活どうするの? バレーでもやってみる?」
「バカ言うな、何のためにこの学校に来たんだか」
「冗談だって」

珠理奈と高柳は、放課後、体育館へと向かっていた。
この学校の体育館は広く、少なくとも2つの部が同時に活動できる。
手前のコートでは、バレー部が活動している。
しかし2人の目的は、違う。奥だ。

学校の廊下や階段の踊り場には色々な部活の勧誘ポスターが貼ってある。
2人の目的である部活のポスターは、シンプルだった。

『全国を本気で目指す方、大歓迎! 経験の有無は問いません! 仮入部期間は設けません! バスケ部』

「これ……初心者どころか経験者でも来ないよね」
「本気で目指すなら仮入部なんてお試し期間は無くていい、ってことでしょ?」

流石に珠理奈も高柳もこのポスターには面を食らったが、決意は変わらない。
バスケ部の方のコートへ行くと、そのポスターを見たのか見てないのか分からないが、数人の生徒がコートの脇に立っていた。
おそらく、自分と同じ志を持って入部を決意したのだろう。

都立十桜高校バスケ部は、公立高校の中では断トツで強い。
セレクションで選手を集めたりはしていないが、毎年地区予選でベスト16から8まで進む強豪校だ。
しかし、所詮は公立高校で、全国レベルの私立とは大きな差があると言える。

「部員少ないねー。あ、珠理奈ちゃんはもう知ってたんだっけか」
コートで練習する、10人にも満たない先輩たちを見て高柳が小さく驚く。
部員が50人いた珠理奈達の中学に比べれば、驚くのは無理もない。
「あのポスターがこの少なさを物語ってる」

練習着に着替え、バッシュを履く。
流石は、仮入部期間無し。
体操着に体育館履きで見学だけ、というのはダメらしい。

1年生がある程度揃ったところで、集合の声が掛かった。
ずらっと並んだ1年の前に、少ない先輩が並んだ。

「部長の秋元です」
「副部長の宮澤佐江です」

部長、副部長、と名乗った2人は、近くで見ると珠理奈よりも数センチ背が高い。
身長には自信のあった珠理奈としては、正直いきなり驚かされることとなった。

「ポスターにも書いてある通り、私達は全国を目指して活動しています。練習も相応にします。中途半端な気持ちで来ないように」
「そんないきなりビビらせることないよ才加。せっかく来てくれたのに」

おそらくこれからも部長さんはこの調子なのだろう。
そりゃ部員も少ないわな、と心の中でつっこんだ。

「じゃ、どうしようか……先にあたし達の自己紹介でもする?」
「うーん……あ、監督来たよ」

そう言って、部員が挨拶する先には、長身で細身の、少し髪の長い、メガネをかけた若い男性が体育館に入ってくるのが見える。
強豪校の監督と言うと、頑固なオヤジだったりを想像するものだが、それとはかけ離れていた。

「おはようございます! 監督」
「この方たちが1年生? どうも、監督の安西です」

丁寧口調で話す、1年生にまで「方」をつける、安西と名乗った男には、正直、監督としての威厳が感じられない。

「まだ何もしてないんですけど、どうしますか、監督」
「うーん……とりあえず1年生1人ずつ自己紹介お願いしますか」
「分かりました。よし1年! 名前、出身中学、バスケをやっていた者はポジション、だ。じゃ、左から順番に」

緊張しながらも、言われたとおり順番に自己紹介が始まった。
珠理奈より先に高柳の順番がやってくる。

「高柳明音です! 坂江(さかえ)中学出身、ポジションはポイントガードでした!」

出身中学を言ったあたりで、少しざわめいたのが珠理奈にも分かった。
自慢ではないが、いや、自慢でもいい、正直それは当然だった。
珠理奈たちの世代の坂江中学は、全国ベスト8を果たしている。

「坂江中……名門だな」
「ギャース! しかも指原と同じポジション!」
「騒ぐな、指原」

後ろの方で先輩が何か騒いでいるのが見えた。
(明音と同じポジションって、その身長で? 明音より高いじゃん)
164センチの高柳でも、ガードとしては背が高い方だ。
同じポジションと言った、指原、という先輩は、高柳より数センチ高い。
そんなことを思いながらも、珠理奈の番が回ってくる。

「松井珠理奈です。坂江中学出身、ポジションはスモールフォワードです」

これまたざわめいたのが分かった。
自慢ではないが、いや、これも自慢でいい、中学時代は一応エースだった。
知ってるかも、という声が聞こえてきたことには驚いたが、その自信はある。

「背……高いな」
「その高さでスモールかよ!」
「騒ぐな、指原」

残りの1年の自己紹介も進んでいくが、流石に珠理奈たちを超えるような選手はいない。
珠理奈の興味は、どちらかというと、先輩たちに向いていた。
(早く、対戦したい……)
そして、ようやく自己紹介も最後の者になった。

「松井玲奈です」

そう聞いた瞬間に、珠理奈は思わず高柳と共に、「えっ」と振り向いてしまった。
同じクラスの、同じ身長の、同じ苗字の松井玲奈がいるのだ。
すぐに高柳が耳打ちしてくる。

「あれ、玲奈ちゃんでしょ? バスケ部に来てたんだね」
「驚いた。デカいのに、存在感薄いなー」

玲奈の挨拶は続く。

「出身中学は、下木唐中学です」

(ゲキカラ中学)
心の中で一度その名前を呟いてみたが、聞いたことは無い。
バスケに関しては無名の学校だろう。
(となるとポジションはセンターとかかな)
選手の少ない無名の学校となると、172も身長があれば、センターをやることが多い。
(無名中学の、大きいセンター、ってところかな。でも全国目指すにはセンターじゃ小さいかな)
何も聞いていないのに、上から目線の心配をしていた。

「ポジションは、シューティングガードでした」

素直に驚いた。
その身長でシューティングガードは、選手層の厚い、全国レベルの学校の選手がやるようなポジションだ。
(ゲキカラ中学)
もう一度、その出身中学を頭の中の検索にかけてみるが、やはり何も引っかからない。
(無名の学校で、172センチの選手がシューティングガード? 意味分かんない)

「その身長でシューティングガードかよ!」
「指原!」

1年全員の自己紹介が終わった。
安西は黙ったままだ。
「監督、どうします?」
この沈黙には慣れているのか、平然と部長秋元は指示を促す。
突然監督は手を叩いて、口を開いた。

「ゲームをしましょう」

(やった!)
珠理奈はその言葉に心の中でガッツポーズだ。

「8分1本のミニゲームです。身長が同じくらいになるように分かれて」
「2年はビブス持ってきてー」

秋元によって、1年生は身長で2チームに分けられた。
珠理奈と玲奈は当然別チームになった。

「玲奈ちゃんと同じチームだ。よろしく」
「よ、よろしく……」
「珠理奈ちゃんはスリーポイント苦手だから、チェック甘めでいいよ」
「おい、明音、余計なこと言うな!」

高柳とも分かれた。
敵となるとやっかいな相手になる。
しかし、それ以上に気になるのは、高柳の言葉に小さく頷いている、玲奈だ。

「試合中、赤と青で。両チーム礼」
審判を務める副部長宮澤が、チームの呼び名を示す。
珠理奈が着ているのは赤いビブスだ。高柳と玲奈が青。

お願いしまーす、と間延びした挨拶をする。

(松井玲奈……どんな選手なのか)

珠理奈、玲奈、2人の松井がセンターサークルに入り、向かい合う。
お互い、ジャンプボールはポジション的に専門外だろうが、まずいきなり勝負だ。

(うわ、珠理奈ちゃんいきなり闘争心むき出しだよ)

玲奈を、そしてボールを睨む珠理奈は今にも飛びかかりそうな猛獣のようだ。いや、女子に猛獣は言い過ぎかもしれない。
それでも、向かい合うだけで相手が逃げ出しそうな覇気ではある。

(でも……こっちの松井も相当だね)

向かいの玲奈も、身長が同じくらいというのもあるが、珠理奈に引けをとらない。
その目は、冷静に、ボールを見つめている。

(どんな選手か分かんないけど、珠理奈にビビッてないもんな)

「じゃ、始めるよ」
宮澤が一言、声を掛けた。
ボールが舞い上がる。

そして2人の172センチが飛び上がった。

続く

やっと(もう)バスケします。
展開はとにかく早くです。
専門用語や略語が飛び交うと思います。
注釈はつけますが、分からなければ質問ください。
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どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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