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「マジすか学園2.5」第12話

第12話「元の世界と今の世界」

「なるほど。そっくりやなんやて聞いてたから、双子かなんかかと思うてたけど、ホンマに何も関係ない奴なんやな」
「うちらだってほとんどあいつのこと知らないんです。いきなり現れて、でも助けてくれて」

ラッパッパ幹部たちに睨まれながら、恐る恐る、チームを代表してどっちがパルとの事の経緯を説明した。
この状況で嘘をついたり、隠し事をしたりする必要が無いこともあって、素直に聞いてはくれたものの、それでも終始その話には全員顔をしかめていた。
納得しろ、と言う方が無理だろう。

「ネズミ……信じられるか? この話」
「信じるわけがない。というより、信じようがどうしようが、そこの話はうちらには関係ない話だ」

パルの過去がどう、だとか、身元がどう、だとかは、今マジ女で起きているナン女との戦争には全く関係のない話。
重要なのは、それを放っておいて問題があるかどうかだ。
ネズミの言葉にセンターは頷いた。

「そうだな。とりあえず敵じゃないんだろ? だったら俺達は何も言わない」

その言葉にどっち達は胸をなでおろす。
下手すれば板挟みになりかねない状況だったが、とりあえず様子見で済まされた。
教室に戻っていくチームフォンデュの後姿を見ながら、ネズミが口を開く。

「いいのか? ホントにこのまま放置で」
「ナン女を1人返り討ちにしたってのは気になるが、大したことじゃ無いだろ?」
「どうすかね……意外と大事かもしれない。ね、おたべさん?」

そう言ってネズミはおたべの頬の傷を見る。
先ほど、ナン女の偵察を倒した時に負ったものだ。

「何人来たか知りませんけど、大人数だったら流石にあの騒ぎでも気付くっすよ。そんな雑魚相手に『かすり傷』なんて、あんたの実力じゃあねえっす」

突然のネズミの発言を、周りは誰も理解できなかった。
ただ、言われたおたべ本人だけが観念したように笑った。

「なんや、意外と強いと思ってくれてるんやな」
「そんなんじゃねえっすよ」
「ま、その通りや。どうせ後で言うつもりやった」

ここまでのやり取りでも、まだ話に追いつけている者がいなかった。
話している2人だけの世界。
だから何だよ、と焦れる学ランを制して、おたべは言った。

「裏門に来たのは、みるきーや。因縁つけられてもうたわ」

一同言葉につまった。
淡々とおたべは話したが、その中身はかなり重大。
みるきーという単語。
その意味は大きい。

「みるきーって……ナン女の副総長じゃねえか」

それはすでに知っていた情報だった。
総長、さや姉、副総長みるきー。
役職で言えば、ナンバー2。
それが自ら出向いてきたというのであれば、大事件だ。
相手の焦りとも、余裕ともとれる事実だった。

「お目当ては、あのパルって子、みたいやった」
「パルが誰を倒しちまったか知らないが、決戦は近いみたいだな」
「ナン女は完全にパルをマジ女の人間だと思ってしもうとる。巻き込むことは避けられへんな」

それは、センター達を複雑な心境にさせた。
パルは部外者で、もちろんこのマジ女とナン女の戦争には関係ない。
その一方で、既にナン女相手に名前を揚げるパルを仲間に迎え入れたい、力になってほしい、とも思った。
そして、そんなことを考えてしまう自分を情けなくも思った。
結局、パルに対する、ラッパッパとしての答えが出ることは無かった。


校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下の脇の石段に腰を掛け、2人は並んでいた。

「俺もまだよく分からないんだ。ただ、ここは俺たちの20XX年とは全く違う世界だってことは間違いねえ」

パルは、これまで自分の身に起こった出来事をアンニンに話した。
偶然喧嘩に巻き込まれたこと、チームフォンデュとして生活していること。
ふうん、とアンニンは興味なさげに聞いていたが、2つの共通点には頷いていた。

「私も目が覚めたら体育館だった。そしてその直前までの記憶も曖昧」

約3日、時間差はあるものの、アンニンもこの世界に来たときの状況がパルと同じだった。
気が付いた時には体育館で、廊下に出たらあの騒ぎになったのだ。
独りならば信じがたい自分の状況が、もう一人共有できる人間がいるとなると、より現実味を帯びる。
それでも、その謎を解く手がかりは一切なかった。

「プリズンは……どうなってるんだ?」
「分からない。でも、腕輪は作動してないみたい」

元々の自分たちの居場所であるプリズンでは左腕に腕輪をはめられる。
施設から出ようとすると毒が発生する仕組みになっており、受刑者の脱走を許さない。
ここは明らかにプリズンとは関係ない場所であるが、一切作動しなかった。

「てことは俺達……」
「自由ってことかもね」

元いた世界とは全く違う世界。
仲間も家族もいない世界。
それでも、監獄に閉じ込められる絶望的な世界に比べたら、この世界はずっとマシに見える。
プリズンの環境はそれほどに苦しいものだった。

「戻る気は無いのか?」
「だってどうしようもないからね。戻りたくても。だったら、こっちで自由に暮らした方がいいんじゃない?」

パルはその言葉に頷けなかった。
プリズンの仲間のことが思い出される。
アンニンにはその感情が無いのか、聞こうとするとその前にアンニンは立ち上がった。
それは、わざと会話を切ったようにも思えた。

「じゃ、私は行くよ」
「これからどうするつもりだ?」
「ヤンキーの遊びには興味ないよ。まあ、仕方ないからさっき出来たお友達と仲良くするかな」

友達? と首をかしげるパルだったが、それをしり目にさっさとアンニンは校舎へと戻っていく。
そして先ほど自分が打ちのめしたばかりの生徒に話しかけると、ものの数秒で従えた。
その光景に苦笑しながらも、パルもチームフォンデュが待つ教室へと足を進めた。
今この世界での、帰る場所へと。

続く
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どうも、ウロマムです。
AKB48さんの小説を書いてます。

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